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2004年12月16日

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「夕刊フジBLOG」がMovable Typeを使う理由

<<企業のMovable Type実用例>>

夕刊フジBLOG
「ウェブログでは個人も新聞も同じ土俵。非常に面白い分野に足を踏み入れたと思っています」

 サラリーマン男性の必読紙とも言える夕刊フジは、産経新聞サイト自体がまだ存在しなかった10年近く前から公式サイト「ZAKZAK」を立ち上げ、ごく初期からウェブ戦略に取り組んできた新聞である。早期参入やヤフーへの記事配信を通して、そのブランドはネットユーザーの間で定着しており、1日1000万PVを誇る人気サイトのひとつとなった。そのZAKZAKとは別に、夕刊フジが新たに取り組んだのが、ウェブログ形式の「夕刊フジBLOG」である。2004年7月に開設された同サイトは、新聞社として初のウェブログ・サイトとして大きな注目を集めている。同社がウェブログを立ち上げた理由は何なのか、また同サイトに対する反響やウェブログ形式のメリットなどを尋ねてみた。

yukanfuji1.jpg
夕刊フジBLOGのトップページ

■紙とウェブの連携を目指して 
夕刊フジ編集局報道部次長の佐々木浩二氏は、夕刊フジBLOGを立ち上げたきっかけをこう語る。「夕刊フジの紙面には、中面(なかめん)記事と言われる企画ものの記事が掲載されています。これらは、健康情報や財テクなど、時間が経っても価値が変わらない情報です。しかし、夕刊フジの公式サイトであるZAKZAKにはニュース記事のみが掲載され、こうした中面記事は掲載されません。翌日には価値が半減するニュース記事だけがZAKZAKのバックナンバーに残り、中面記事はその日限りになってしまうのです。そこで、中面記事を掲載するサイトが必要だと考えました」

 ZAKZAKに中面記事を掲載せずに新たなサイトを立ち上げようと思ったのは、ZAKZAKがすでにニュースサイトとしてのブランドを確立しているため、中面記事を載せるには新たなサイトが必要だと判断したためだ。これは、実は編集局にとって大きな決断だったという。なぜなら、外からは同じに見える紙とウェブ媒体は、産経新聞内では部門が分かれているために連動性がほとんどなかったからだ。佐々木氏は、「内部で紙とウェブは別ものとして捉えられており、逆に読者のほうがその差をあまり感じていないのかもしれません。紙とウェブをうまく連携させたいという私個人の思いは常々あったのですが、紙の立場からすれば、新聞は一部売れれば120円入るわけですし、編集局自体はウェブをあまり意識していなかったとも言えます」と説明する。

 もうひとつの理由として、ウェブの媒体としての価値が高まるにつれ、広告主による紙とウェブとのクロスマーケティングへの要請が高まってきたことが挙げられる。たとえば、紙に広告を掲載するのと同時に、新聞サイトから企業サイトへリンクを張り、アンケートを回収するといった要望が増え、営業的にもウェブ媒体を持っていないと困る状況になってきたという。そこで、夕刊フジは、編集局から立ち上がる初めての公式サイト作りに取り組んだ。

■新聞社で初のウェブログ、開設
 それでは、ウェブログ形式を採用したのはなぜだろうか?佐々木氏はその理由に、ウェブログの可能性、また、夕刊フジBLOGを現在共同で運営している株式会社ファンコミュニケーションズの柳沢安慶社長からのアドバイスを挙げる。「ウェブログに関しては昨年秋から知っており、興味を持っていました。ただし、日記ツールのイメージがあったので、ニュースサイト的なことができるかどうかが懸念材料でした。新聞社のサイトとしては初めてのウェブログでしたので、きちんとしたものを作るのが挑戦でした」と同氏は語る。ニュースサイト的に見せるコツとしては、政治、経済、スポーツとメニューが並んでいる新聞サイトのレイアウトを踏襲したという。Movable Typeではデザインやレイアウトを柔軟に変えることができるため、イメージしたニュースサイトにかなり近づいた。

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夕刊フジBLOGトップページの左側部分の拡大画像。「仕事・会社・セカンドビジネス」、「健康」、「生き方」など、ニュースサイト的にカテゴリーを設けている。

 2004年7月22日に開設された夕刊フジBLOGは、新聞社で初のウェブログということもあり、メディアで大きく取り上げられ、読者からの反響も予想以上だった。ウェブログのメリットとしては、更新の簡単さやSEO対策はもちろんだが、それ以上に記事の価値が高まったことが大きいという。「ニュースサイトはその日の記事がすべてで、バックナンバーは形式だけという感覚が強いですが、ウェブログだと検索エンジンから直接ページに来るので、3カ月前の記事へのトラックバックがいまだに来るんですよ。1日10本前後の記事を掲載し、現在は1000本前後の記事を載せていますが、これらすべての記事が無駄じゃないと感じられますね」(佐々木氏)

 実際に始めてみて意外だったのは、ウェブログの読者は既存の新聞サイトとは異なる行動履歴を持つという点だ。通常の新聞サイトは、政治、経済などのメニューをクリックしてカテゴリー別の記事を読む傾向があるが、ウェブログの場合は検索サイトなどから直接目的の記事に飛ぶ場合が多いという。また、紙の場合は女性が店頭で買うには抵抗があるため、読者層が男性サラリーマンに限定されるが、ウェブでは男女や年齢に関係なく役立つ記事にアクセスするので、読者層を広げることにも一役買っている。

■言葉では表現できないウェブログの面白さ 
しかし、懸念材料がないわけではない。その一番大きなものが、大量の批判コメントやトラックバックが来たらどうするかということだ。これに対して、夕刊フジではウェブログの機能面とコンテンツ面という双方から工夫をしている。機能面では、コメント機能をオフにして、トラックバックのみを受け付けることで、悪意のある誹謗・中傷をほぼ防いでいるという。佐々木氏は「トラックバック機能のみだと、自分のサイトで意見を述べなければならないので、あからさまな中傷はほぼ皆無です。コミュニティがきちんとできているということも、中傷が少ないことの理由かもしれません」と分析する。

夕刊フジBLOGへの読者トラックバックの一例

 また、コンテンツ面では、激しい議論を呼びそうな時事ネタはなるべく避けることにしている。中面記事の多くは、健康、生き方、デジタル、ファッションなどのお役立ち情報だ。これらの記事は、紙面に掲載された1週間後に夕刊フジBLOGに掲載される。何カ月経っても読まれる情報として、ウェブログで掲載する効果が非常に高い。

 夕刊フジBLOGを開始してまだ数ヶ月だが、その面白さは言葉では表現できない。「非常に面白い分野に足を踏み入れたと思っています。たとえば、朝日コムや日経NET、ZAKZAKなどは呼び捨てですが、私たちの場合は、『夕刊フジBLOGさん』と、1個の人格として書かれるのです。不思議な感じがしますが、ウェブログでは個人も新聞も同じ土俵にいるということを強く意識させられます」(佐々木氏)

 紙では考えられない世界に飛び込んだという夕刊フジBLOG。今後は、個人のウェブログに内容的に負けないという意識を強め、内容を充実させていくとともに、次々と新たな試みに挑戦していく予定だ。たとえば、夕刊フジBLOG側から個人のウェブログにトラックバックを送るなど、現在さまざまなアイデアを温めている。同サイトに触発され、ウェブログの開発を考慮している他新聞社サイトもあるというので、ウェブログをめぐる新聞社の今後の動きにも注目したい。

■事例データ■
・Movable Type3.11-Ja商用ライセンス
・ウェブログをはじめたのは:2004年7月22日
・はじめた理由:中面記事の掲載サイトを立ち上げるため
・制作を担当したのは:株式会社ファンコミュニケーションズ
・何か手ごたえはありましたか?:読者層の拡大、紙とウェブとの連携

(Text/Photo by Hiroko Nagano, http://blog.digi-squad.com/

  • 投稿者 Blog on Business 編集部
  • 13:52
  • カテゴリー Movable Type

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