Blog on Business
2004年12月24日
「ヌーベルブログ」がMovable Typeを使う理由
企業のMovable Type実用例
ヌーベルブログ
http://www.adnec.com/blog/
「革新的で先進的なことに挑戦するNECの企業姿勢に、ウェブログはぴったりでした」
ヌーベルブログ(Nouvelle blog)は、数字をキーワードにしてIT情報を提供するウェブログである。フランス語で新しい波を意味する「ヌーベルバーグ」(Nouvelle Vague)にちなんで、ウェブログで新しいITの波を見つけるという意味を込めて名づけられた。レギュラーメンバーが招くゲストを交え、毎回ITにまつわる数字を切り口に、最新ニュースを紹介するというユニークなサイトである。NECが運営しているということもあり、大きな注目を集め、人気ウェブログのひとつとなっている。同社がウェブログを立ち上げた理由は何なのか、また同サイトに対する反響やウェブログ形式のメリットなどを尋ねてみた。

ヌーベルブログのトップページ
■先進的な試みとしてウェブログを採用
NECメディアプロダクツ新野文健氏は、ヌーベルブログを立ち上げたきっかけをこう語る。「私は2003年7月から12月まで、NECサイト上で展開した環境活動プロジェクト「エコトノハ」(ecotonoha)(注)に関わっていましたが、当時、エコトノハのリファラーログを調べていたときに面白い現象に気がつきました。同サイトは英語版もあるのでトラフィックの半分が海外からでしたが、ログを解析していくと、ウェブログと呼ばれるサイトからトラフィックの多くが来ていたのです」
ウェブログに関しては、海外ニュースの記事を読み話題になっていることは知っていたが、具体的にどういうものかは知らなかったという。しかし、実際にエコトノハがデザイン関連の海外ウェブログで紹介され、個人ウェブログがそれらのサイトを引用することで情報が広がっていったことが分かり、ウェブログの口コミ効果を実感したという。
そこで、NECの次の広告プロジェクトとして、何か面白い新たな試みを探していたときに、ウェブログを立ち上げてみようと考えた。当時、国内ではブログをビジネスに使っているケースは大企業では皆無であり、ウェブログを使うこと自体が新しく、革新的で先進的なことに挑戦するNECの企業姿勢にもぴったり当てはまった。

NECメディアプロダクツの新野文健氏
ただし、懸念材料もあった。「2ちゃんねる」に代表されるような、海外とは異なる日本独自のネットコミュニティ文化である。そこで、こうした文化に詳しく、運営ノウハウを持っている人々と一緒にチームを組むことにした。「百式」の運営者である田口元氏と、「Passion For The Future」の橋本大也氏である。彼らとともに、数字で読み解くITニュースというコンセプトを考えた。タイトルを数字にすることで、最新タイトルが表示される多くのウェブログ・ポータルで、注目を集めることができる。
■ユーザートラフィックが半年で倍増
ウェブログ・ソフトとしてMovable Typeを選んだ理由を、新野氏はこう語る。「Movable Typeはデファクト・スタンダードであり、個人的に運営しているウェブログでも使っていたので、同ソフトを選んだのは自然な流れでした。ヌーベルブログは、ひとつのウェブログに複数の著者が登場するグループ・ウェブログなので、テンプレートをカスタマイズして独自のフォーマットを作る必要がありました。それぞれの著者の顔写真アイコンが、記事とともに掲載されるようにしたのですが、こうしたカスタマイズが柔軟に出来るのがいいですね」
ウェブログの制作は、NEC学生NPO起業塾の2003年度参加チームとして選ばれたIT関連のNPO法人「かものはしプロジェクト」が担当。デザインは社内のデザイナー、テンプレートの作成やMovable Typeの設定はかものはしプロジェクトが行い、1カ月ほどで完成した。
2004年3月に開設されたヌーベルブログに対して、読者からの反応はどうだったのだろうか?多くのウェブログで紹介され、とくに立ち上げ当初の頃は、NECがウェブログを立ち上げたことに対して、「そういうことをやるとは思わなかった」という驚きのコメントが多かったという。ウェブログのメリットとしては、予想通り広告をほとんど打たずにトラックバックの口コミ効果で広がり、費用対効果が高い点が挙げられる。「実際、エコトノハでウェブログ効果を確信していたので、広告費をかけずにどこまでやれるのかに関しては、自信がありました」と新野氏は語る。
「不思議の国のユビキタス・パーク」など企画ものの記事も掲載されている。
また、企業サイトとしてはほぼ毎日更新するコンテンツを考えるのは難しいが、ウェブログだと記事の掲載が物理的に簡単なだけではなく心理的なハードルが低いので、気軽に掲載できるというメリットがある。たとえば、コラムなどの形態では、原稿を執筆・推敲すると早くても1週間はかかり、取材を含める記事では1カ月ほどかかる場合もある。それに対して、ウェブログで気軽に更新することで、ある程度のトラフィック効果が期待できる。ヌーベルブログのトラフィックは、半年でほぼ倍増した。
■RSSを使ったFLASHや携帯サイトも提供
実際にウェブログを運営してみて、いわゆるSEO効果も実感したという。「グーグルでヌーベルブログの著者の名前を検索すると、ほぼ全員トップページにヌーベルブログが入っています。ウェブログがSEO対策に優れていることが証明されました。また、『ブログ』と検索すると、ウェブログサービスを除いたウェブログ名ではヌーベルブログは2位に入ります。著者に執筆をお願いするときも、最近はヌーベルブログを知っている人が多く、知名度が上がってきたことを実感しますね」と新野氏は語る。
ヌーベルブログでは、RSSのユニークな活用も行っている。FLASHの最新版がXML形式に対応しているので、RSSを使って数字とタイトルを表示するFLASHバナーを作成したり、携帯電話向けのコンテンツはRSSフィードを使い5本の最新記事を表示するようにしている。企業としてウェブログを先駆けて活用したヌーベルブログらしいRSSの使い方だと言える。
最後に、企業がウェブログを運営するうえでの注意点を尋ねてみた。技術面やシステム面というよりも、むしろ運用面や内容面で注意する必要があるという。ウェブログは簡単に記事が更新できるというメリットはあるが、企業としてどこまで記事の内容に対してチェック機構を働かせるかを決めるのが難しい。企業色が強すぎると、逆に読者には退屈なものとなってしまう。
「企業の看板があるので内容はそれに沿ったものが必要ですが、企業としてどこまで出して行けるか、そのバランスが難しいですね。たとえば、新しい製品やサービスなどを紹介する際、画像や写真を掲載するとページビューが大幅にアップしますが、ヌーベルブログでは許諾を取っていない画像を掲載するのは不可にしています。こうした制限はある程度仕方ないので、その分は著者の多様さで付加価値をつけるなどの工夫をしています」(新野氏)
NECメディアプロダクツはNEC関連のサイトだけではなく、さまざまな顧客のウェブサイトを手がけている。今後は、ヌーベルブログの経験を活かし、ウェブログを使ったビジネスサイトのソリューションを提供する予定だという。企業におけるウェブログの利用がますます広がることだろう。
(注)エコトノハ(ecotonoha)は、2003年7月から12月までNECのホームページ上で展開した環境活動と連動した企業広告プロジェクト。同サイトにアクセスした参加者がメッセージ(言葉)を枝葉として書き加えていくことによって、仮想の木が伸び、参加回数が100回に達するごとに、NECが実施している植林事業における植樹数を増やしていくというもの。カンヌ国際広告フェスティバルを含む世界4大広告コンクールのすべてでグランプリを受賞。企業と顧客を結ぶ新たな形として注目を集めた。
■事例データ■
・Movable Type2.6商用ライセンス
・ウェブログをはじめたのは:2004年3月
・はじめた理由:ウェブログを使った先進的な試みを行うため
・制作を担当したのは:かものはしプロジェクト
・何か手ごたえはありましたか?:話題性、企業ブランディング、SEO対策
(Text/Photo by Hiroko Nagano, http://blog.digi-squad.com/)
- 投稿者 Blog on Business 編集部
- 03:44
- カテゴリー Movable Type
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