Blog on Business
2005年01月04日
マネログがMovable Typeを使う理由
企業のMovable Type実用例
マネログ
http://www2.monex.co.jp/monex_blog/
「実際に使ってみて実感したのですが、サイト運営の効率が上がりました」
ネット証券会社のマネックス証券株式会社が発行している「マネックスメール」は、1999年8月の創刊から今日にいたるまで平日に毎日配信され、読者数が20万人を超える人気メールマガジンである。日本の株式を中心とする相場解説、同社の代表取締役社長・松本大氏や著名人の人気コラム、資産設計情報などが日替わりで連載されており、創刊号からのバックナンバー・データは膨大な量にのぼる。同社は、これらすべてのメールをウェブログ形式に移行した「マネログ」を、2003年12月に開設した。送信したマネックスメールをまるごと再掲載した「マネックスメール全文」のほか、連載記事・コラムの月別一覧や、それぞれのコラム別一覧に分かれており、非常に読みやすくなっている。同社がウェブログに移行した理由は何なのか、また同サイトに対する反響やウェブログ形式のメリットなどを尋ねてみた。

マネログのトップページ
■膨大な量にのぼるデータをウェブログで管理
マネックスのマーケティング部Web開発グループ・磯部有希子氏は、マネログを立ち上げたきっかけをこう語る。「マネックスでは、金融商品の紹介のほかにも複数のコラムが掲載された『マネックスメール』を週に5本配信しています。しかしその分、データのバックアップやアーカイブが大変でした。マネックスメールのバックナンバーはHTMLで作っていたので、カテゴリーを作ってウェブに再掲載する余裕がなく、まるごと再掲載していただけでした。そんなとき、松本大社長からウェブログやMovable Typeの話を聞き、CMSとして使ってみようという話になったのです」
マネックスメールは、「マネックス社長 松本大のつぶやき」、「伊藤洋一のマーケットあっと・らんだむ」などの人気コラムのほか、「ファンドマネージャーの相場の見方」などの株式・投信記事、「HSBCの中国情報」といった海外・為替記事、「10年後に笑う!マネープラン入門」などさまざまな資産設計記事を配信している。それぞれのテーマは連載にもなっており、半年続けて読むとかなりの知識を吸収できるようになっている。
同社は、Movable Type2.6商用ライセンスを使い、Movable Typeのカテゴリー機能を使ってこれらの連載コラムを管理することにした。これまでは毎日HTMLでページを作っていたので、Movable Typeに移行してから運用が非常にラクになったという。一方、コメントやトラックバック機能はつけていない。その理由には、バックアップおよび表示確認を行うため、いったんイントラネット上のサーバーに掲載し、本番環境に転送する運用体制をとっていることから、トラックバックができないことが挙げられる。
ほかにも、証券会社にとっては信用が第一なので、大量のコメントやトラックバックに対応できなかった場合、信用の損失につながるリスクが高いことから、これらの機能をつけなかったという。磯部氏は「メールマガジン読者やマネックス顧客とのコミュニケーションを、コメントやトラックバックといった数種類に分散させるよりは、すべてはメールとコールセンターで対応するという風に一本化したほうがいいと判断しました。メールマガジンの読者からも多くの意見や質問メールが来るので、その対応に加えてコメントやトラックバックのすべてに目を通して返事をするとなると、対応できない可能性があります。対応できないリスクを考えると、始めからその機能はつけないほうがいいと考えました」と語る。
■便利なカテゴリー機能をフル活用
創刊号からの膨大なデータを効率的にアーカイブするという目的で開設された「マネログ」だが、とくにMovable Typeを使ってみて便利だと感じた点は、著者自身などのウェブ開発グループ以外のスタッフがメール感覚で原稿を登録できることから、作業工程を省略できた点に加え、カテゴリーの作成やカテゴリー別の表示が簡単にできる点だという。「実際に使ってみて実感したのですが、カテゴリーの作成や変更がこれまでよりずっとラクですね。また、複雑なプログラムではないので細かい変更もできます」と磯部氏は説明する。ちなみに、松本大社長の記事はすでに1300本を超えており、再構築するのに数時間かかるとのこと。マネログを導入したとき、企業サイトのすべてをウェブログに移行するという話も出たが、サイト全体ではさらにデータ量が膨大になるので断念したという。

マネログのページに掲載されている記事・コラム一覧。Movable Typeのカテゴリー機能を使って作られている。
さらに、日本でウェブログがちょうど話題を呼び始めた時期だったこともあり、主要なウェブログのリンク集サイトなどに掲載され、マネログに関する広告を一切掲載しなかったにもかかわらず、予想を超えて大きく注目されたという。ほかにも、ウェブログの特徴として検索エンジンで上位に掲載されるようになり、新たな読者層を拡大することができた。これまでは、マネックスメール読者がアーカイブ・サイトをブックマークし、連載コラムをまとめて読むといったパターンが多かったが、検索エンジンから直接マネログに来る読者も増えている。その結果、マネックスの顧客ではない、投資に興味を持った人々がサイトを訪れるようになった。新たな潜在顧客の発掘に、ウェブログが大きな効果を発揮した例とも言えるだろう。
■さらに、新たなウェブログにチャレンジ
マネログの成功を受けて、マネックスは同社サイトの「How to マネー術」というセクションに、新たにウェブログのコンテンツ「フォーラム」を追加した。このセクションでは初心者向けの投資情報を提供しており、「オンライン取引のメリット」から「投資情報リンク」にいたるまで、豊富な情報が掲載されている。しかし、HTMLで書き込んでいるため更新が煩雑で、以前はほとんど更新されておらず、トラフィックも低迷していたという。そこで、Movable Type3.1を使いウェブログ形式にして、執筆者が書き込み、担当者が確認して記事を公開することにした。これにより、更新頻度が高まり、トラフィック増の効果を期待している。さらに、ユーザーの反応を見ながら柔軟にコンテンツを変更することで、マネログとは異なるユーザーとの関係を築く狙いがある。
新たなウェブログとマネログの違いを、磯部氏はこう語る。「マネログは、マネックスメールが配信された翌日に記事を掲載するようにしています。このようにタイムラグがあるのは、メールマガジンは広告収入のある一種の確立されたメディアであり、あくまで主役と切り分けているからです。しかし、『How to マネー術』は、アーカイブ機能として使われているマネログとは異なり、1日に何回も記事が更新されるようなフットワークの軽いウェブログにしようと思っています。また、ある程度インタラクティブに読者とのやり取りをする方向で考えています」
「How to マネー術」ウェブログの著者は4人。松本大社長、金曜日のコラム「資産設計への道」を担当している内藤忍氏、「相場概況」や「相場の世界」を執筆している清水氏。4人のうち3人はマネックスメールの著者でもある。あと1人は、読者がよりマネックスを身近に感じられるよう、一社員を選んだ。これから、どんなウェブログが展開されるのか楽しみである。
なお、マネックスと日興コーディアルグループの日興ビーンズ証券は2004年3月に経営統合を発表、合併完了予定の2005年5月をメドに、両社のシステムを統合している最中である。日興ビーンズ証券のシステムを中心に統合するので、マネックスの機能をビーンズに移し、 「How to マネー術」を始めとするマネックスのコラム系記事は日興ビーンズのコラム系コーナ?「ビーンズカフェ」と統合する予定になっている。メールマガジンとウェブログで培った情報発信のノウハウを活かした統合サイトの完成を期待したい。
■事例データ■
・Movable Type2.6および3.1商用ライセンス
・ウェブログをはじめたのは:2003年12月
・はじめた理由:メールマガジンのアーカイブ、CMSとして
・制作を担当したのは:非公開
・何か手ごたえはありましたか?:話題性、アーカイブの効率化
(Text/Photo by Hiroko Nagano, http://blog.digi-squad.com/)
- 投稿者 Blog on Business 編集部
- 15:00
- カテゴリー Movable Type
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