Blog on Business
2005年02月03日
「てるくにでんき」がMovable Typeを使う理由
企業のMovable Type実用例
てるくにでんき
http://www.terukuni.co.jp/
「自社のコアビジネスに最大限のリソースを費やすために、ウェブログは最適なツールでした」
てるくにでんきは、日本のインターネット初の照明器具の専門店である。もともとは、電気工事店や工務店への卸売事業を営んでいたが、長年にわたる仕入れのノウハウを活かして1996年6月にネットショップを開設。照明士や照明コンサルタント、電気工事士などのプロ集団が、販売だけではなく直接顧客の自宅を訪問して施工サービスを行うというユニークなビジネスモデルを展開している。数百軒の家庭やオフィスで施工した実例集は、サイト上で掲載されていたが、2004年9月に、同コーナーのすべてをウェブログ形式に移行して「てるくにでんき お客様の実例集blog」を開設した。同社がウェブログに移行した理由は何なのか、また同サイトに対する反響やウェブログ形式のメリットなどを尋ねてみた。

「てるくにでんき お客様の実例集blog」のトップページ
■施工サービスを活かしたユニークな実例集
ネットショップの開設当時、ネットショップ自体が珍しかったことや、戦略的に商品を絞り込んだことにより業績が大きく上がったが、競合ショップが増加するにつれて、価格競争に陥ったという。同社の専務取締役である堂園秀隆氏は、実例集掲載のきっかけをこう語る。「インターネットでは簡単に価格比較ができるので、価格だけではない自社だけの強みを見つける必要に迫られました。そのとき、我々の強みというのは施工サービスまで提供することであり、現場でなければ分からない情報を持っていることに気づいたのです。インターネットで照明器具を購入する人々は非常に限られた客層なので、こうした顧客の住宅を訪問することで、最近の住宅事情や顧客の要望を知ることができます。そこで、この立場を最大限に活かして、照明器具の設置情報や実例集を掲載することにしました」
たとえば、シャンデリアなどの高級照明器具は10万円以上の商品単価も珍しくなく、日本の一般住宅に設置した場合のイメージが浮かびにくい。また、スポットライトをダクトレールに設置した場合の照明演出など、言葉で説明するのが難しい。しかし、実際の施工例を写真つきで紹介することにより、顧客も具体的に理解できるうえに、社内スタッフの情報交換にも役立つ。
実例集ページは当初、掲示板に掲載していたという。しかし、検索やカテゴリー機能がないので、情報が埋もれてしまう問題が起きた。たとえば、顧客からの電話での質問に対して、実例集を見ながら答えようと思っても、探していた商品が見つからずにチャンスを逃す場合が多かった。何か良い方法を探していたときに、ネットショップの会員制フォーラムであるオンラインショップマスターズクラブ(OSMC)の森本繁生会長からウェブログを薦められたという。
堂園氏は「当時はウェブログについて何も知らなかったので、まず、1997年から続けていた日記コーナーの『新首脳会議』を、Movable Typeに移行してみました(2004年5月)。自分でやってみて初めて、その便利さに気づき、社内で問題になっていた『お客様の実例集』をウェブログで更新することに決めたのです。そこで、2004年6月にMovable Type3.0日本語版を購入し、掲示板に掲載されていた約300件の事例集をすべてMovable Typeに移行しました」と語る。

■販売増加と新たな顧客ニーズの掘り起こし
Movable Typeで「お客様の実例集blog」を開設してから、一番大きく変わったのは、更新速度である。以前は堂園氏が1人で実例集を更新していたので、仕事が忙しくなると更新が滞っていたが、現在は営業担当で照明コンサルタントである神尾健氏を含めた数人で更新をしているという。神尾氏は「更新が素早くでき、以前のシステムに比べると時間は半分以下で済むのが便利ですね。施工は週末が多いですが、月曜日の午前中には更新できます。とくに気をつけているのは、ランプカバーがずっしりしている、透明で軽いなど、触らないと分からない感触を表現することです」と語る。
「お客様の実例集blog」を開設して以来、実例集を見て電話をかけてくる顧客や、実例集を見て購入を決めた顧客が大幅に増えたという。電話での問い合わせ数も確実に増え、検索やカテゴリー機能が充実しているので、画面を見ながら希望する商品に顧客を導くことができるようになった。堂園氏は「カテゴリーとアーカイブ機能には助かっています。商品件数が多いので、照明器具の種類別、店舗・事務所用などの用途別にもカテゴリー機能を使っています。これまではサイトの再編集が面倒で、情報が増えるほど情報が埋もれていました。しかし、今ではカテゴリーの追加やサブカテゴリーの設定までが簡単にできるようになりました」と語る。
また、Movable Typeに移行してから5カ月ほど経つと、検索エンジンで照明器具を検索すると、てるくにの商品ページや実例集blogが1ページ目に掲載されるようになった。同社ページが検索ページに複数登場することで、顧客へのアピール度はグンと高くなる。日本の平均住宅である2.5メートルの天井の高さで照明器具をつけたときの圧迫感など、商品ページでは分からない感覚を実例集で見ることが、購買決定につながっている。同社では2万点以上の照明器具を扱っているが、実際によく販売されるのは30%に過ぎず、その多くが実例集に掲載されている商品だという。
堂園氏は「実例を掲載した商品のほうがよく売れます。2004年の秋口からその効果を実感していますが、自分自身、こんな顧客ニーズもあるんだなと学んでいます。正直、ウェブログのSEO対策は強いというのに半信半疑でしたが、実際やってみると知らないうちに検索ランクが上がっていたのには驚いています」と述べる。
■ショップサイトのウェブログ移行を目標に
今後は、さらに実例集blogを活用し、いろんなコンテンツを追加する予定である。たとえば、顧客からのお礼のコメントは電子メールではよく届くが、ウェブログに直接コメントを書き込む顧客は少ない。今後は、電子メールでブログへのコメントを誘導したり、トラックバックを使ったコンテストなどを積極的に採り入れる予定である。そのほか、商品ページとウェブログ間の情報共有を行うために、商品ページにも実例集の写真を掲載したり、実例集へのリンクを張るといった工夫を行う計画を立てている。

さらに、今年の目標としては、ショップサイト全体をウェブログに移行することを考慮中とのこと。サイト運営で一番の問題点になっているのが更新速度の遅さであり、常時更新されるのは新商品情報だけであり、中規模程度の更新は月に1度程度しか更新されない。ウェブログに移行すれば、ショールームで撮影した写真や商品レビューなどの追加情報を簡単に掲載できる。こうしたウェブログ移行戦略の一環として、同社は今年に入り、「照明プラン バトル・ロワイヤル」コーナーを実例集blogに移行した。同コーナーは、毎月与えられたテーマをもとに同社スタッフが照明プランを作り、その成績を競うというもので、各スタッフともに趣向を凝らしたコーディネーションを行っている。
更新をなるべく簡単に行い、自社のコアビジネスに最大限のリソースを費やすという同社にとって、ウェブログは最適なツールである。最後に、堂園氏はこう語った。「現在、多くの照明器具店舗は、時間やコストがかかる割には利益が少ないので施工サービスから離れています。弊社も施工だけでは赤字になるので、そこから吸収した情報をいかに活用するかが重要です。照明器具を購入する人は、家を購入した人々が多いですし、特別な思いを持っているので、システム構築や他の部分はアウトソースしても顧客と直接会うことだけは続けていきたいと思います」
■事例データ■
・Movable Type3.0商用ライセンス
・ウェブログをはじめたのは:2004年6月
・はじめた理由:更新速度、カテゴリー機能
・制作を担当したのは:社内
・何か手ごたえはありましたか?:更新頻度アップ、マーケティング、販売増加
(Text/Photo by 長野弘子/Hiroko Nagano, http://blog.digi-squad.com/)
- 投稿者 Blog on Business 編集部
- 21:02
- カテゴリー Movable Type
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