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2005年03月18日

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「CHモバイル」がMovable Typeを使う理由

企業のMovable Type実用例

株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ(CHモバイル)
http://www.casio.co.jp/release/2004/chmc.html
「Movable Typeの導入により、顧客企業別の表示設定が可能になり、効果的な情報発信ができるようになりました」

カシオ計算機および日立製作所の合弁会社として、2004年4月に設立された株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ(以下、CHモバイル)は、主にCDMA方式の携帯電話の開発、設計、製造、両社への端末の販売などを行っている。カシオの画像技術やアプリケーション技術と、日立の高速データ通信技術やシステム設計技術を融合することで、端末プラットフォームの共通化と開発リソースの効率化を実現し、開発スピードを加速する狙いがある。設立してまだ1年足らずの若い会社である同社は、2005年3月、企業ポータルのすべてをウェブログ形式に移行した。同社がウェブログに移行した理由は何なのか、また同サイトに対する社内での反響やウェブログ形式のメリットなどを尋ねてみた。

CHmobile-PortalA.jpg

(図1) CHモバイルの企業ポータル「CHモバイル社内ポータル」のトップページ

■効率的なCMSとしてのMovable Type
CHモバイルの経営企画グループの太田聡氏は、同社ポータル・サイトの構築にMovable Typeを導入した理由をこう語る。「弊社では、企業設立前に(カシオ計算機と日立製作所の)両社間の情報共有を行うために開設されたポータル・サイトを、引き続き企業ポータルとして利用していました。しかし、WORDで作成した文章をHTMLで保存し、手作業でFTPサーバーにアップロードしていたので、サイト更新には時間がかかっていました。そのうちに各部門からのコンテンツ作成の依頼が増えたことから、手作業では立ち行かなくなりました。効率的なCMSを探していたときにカシオ計算機でMovable TypeをCMSとして利用していることを聞き、実際に個人利用として自分でもMovable Typeを使ってみて便利さを確信し、導入を決定しました」

第一段階として2005年初頭に、社長と副社長の情報発信ウェブログ「社長・副社長のホームページ」を開設した。両氏の対談形式により企業理念やビジョンを社員に伝える「トップ対談」、社長と副社長のそれぞれのメッセージを掲載した「折々のメッセージ」などのカテゴリー別に記事を掲載している。コメントやトラックバック機能はついていないが、ウェブログを使った新たな情報発信として、社長・副社長のホームページは同社にとって大きな一歩となった。

CHmobile-president.jpg

(図2) CHモバイルの「社長・副社長のホームページ」

同社は第二段階として2005年3月に、一般業務や必要事項などを配信する企業ポータルのすべてをウェブログに移行した。ポータルのトップページはMovable Typeで構築され、トップニュース、重要情報、新着情報などが掲載されている。下位ディレクトリには、総務、人事、環境ISO、ITといった分野別に11のウェブログが開設された。トップページの記事の配置は、Movable Typeのカテゴリー機能を活用し、同じカテゴリーの記事を一カ所にまとめて表示。各カテゴリー・ページは、右にメイン部、左にリンク部を作成し、ページによっては右側に特定カテゴリーの記事をウェブログ風に時系列で掲載している。

新着・更新情報は、Movable Type により自動生成されるRSSを利用している。前述の11分野のウェブログを含めた新着データを、PHPによって要素抽出し、これらを1つの配列に合わせてから、最新順に並べ替えてトップページで10件の新着情報として掲載している。この場合、通常の並べ替えの方法では文字列のコピーが大量に発生し、実行時間に大きな影響が出かねないという問題があったが、配列の性質を利用したアルゴリズムの工夫によりこれを回避した。それまでは、新着・更新情報用にHTMLを別途作成してフレーム構造で見せていたため、余分な手間と新着・更新情報の更新忘れが発生していたが、こうした事態もなくなったという。

検索系のページや、メール投稿フォームなど、CGIで動くページは独自に設計し、適宜PERL-CGIと組み合わせてテンプレートやエントリーにリンクを張る方法で運用している。各サイトの要求内容を分析し、それによってカテゴリーとテンプレートを設計し、表示方法と配置を決定しているが、太田氏がもっとも頭を悩ませたのはこうしたデザイン部分だったという。

CHmobile-PortalB.jpg

(図3) 「CHモバイル社内ポータル」のトップページ。トップニュースのみ全幅で、ほかは中央にメイン部を配置し、両脇にリンクおよび検索という構成。

■アクセス元のIPアドレスにより配信情報を選別
また、CMSとしての用途だけではなく、同社ポータルにアクセスするユーザーにより表示内容を変更するためにも、Movable Typeは最適なツールだったという。同社経営企画グループ・チームリーダーの青木陽一氏は、以下のように述べる。「今回のプロジェクトでは、イントラネットをいかに活用するかという課題のほかに、顧客企業に対して情報発信を積極的に行っていくという大きな目的がありました。しかし、提供すべき情報は顧客企業によって大きく異なっており、たとえば、競争相手同士であるカシオ様と日立様の情報がそれぞれに流れることは望ましくありません。積極的な情報発信を行いながらも、ある程度の情報の流れを管理したいという、こうした矛盾した2つの目的を達成するために、IPアドレスの管理を自社向けに設定できるMovable Typeは最適なツールでした」

Movable Typeのテンプレートは、PHPスクリプトとの親和性が高いことから、PHPスクリプトのなかにMTのタグを埋め込み、アクセス元のIPアドレスを判別して、特定のコンテンツを表示させるようにした。これにより、1つの企業ポータルで、社員、派遣社員、外注など、さまざまな形で業務に携わっている人々に適切な情報を選別し、配置できるようになった。今後はさらに、部門別や役職別などの細かい表示設定を行い、効果的な情報の流通をしたいと考えている。

太田氏は「顧客企業、社員の部門や役職ごとに異なるサイトを作るわけにはいかないので、テンプレートでPHPスクリプトを埋め込んで、アクセス元から得られる情報を利用してテンプレートに実装するようにしました。この際、テンプレート中のPHPスクリプトに、Movable Typeのタグをecho文(注:PHP、シェルスクリプトなどで文字列を返すための関数)で埋め込むことができる点が非常に便利でした。これにより、正社員・派遣社員などさまざまな立場の人間が混在するなかで、1つの企業ポータルによる情報提供が実現できたのです」と説明する。画像が小さくて分かりにくいが、掲載している「CHモバイル社内ポータル」の2枚の画像(図1と図3)は、異なる権限のPCでスクリーンコピーされたものであり、よく見ると図1の画面左上部分にあった緑色の画像が、図3の画像においては表示されていないことが分かる。

■コメントやトラックバック機能も考慮
同社ポータルのウェブログ導入に関して、社内および顧客企業は、どんな反応を示しているのだろうか?青木氏によると、ウェブログに移行する以前は、顧客企業などの兼ね合いから情報をオープンにできなかったため、社員の不満につながっていた。しかし、Movable Typeの導入により、個々の立場による情報の表示設定が可能になり、もっと情報を知りたいという社内外のニーズに応えることができたという。また、社内閲覧者の声としては、デザインが整理され、システマティックになり、視認性・可読性が向上したとの意見が多かった。

現在、すでに数名が同社ポータルのコンテンツ作成に関わっている。最初は設定画面の仕組みがよく理解できずに戸惑っていた人々もいたが、箇条書きや作表などタグを覚えて作成する分野以外で、データや画像のアップロード機能といった一般的な機能は、ホームページ作成経験のない社員でも即座に使いこなせるようになったという。

CHモバイルのウェブログ導入は主に、CMSおよびアクセス管理という理由によるものであり、現時点ではコミュニケーションを促進するためのコメントやトラックバック機能は導入していない。今後、社内および顧客企業とのやり取りに、コメントやトラックバックを活用する予定はあるのだろうか?青木氏は「コメントに関しては難しいところですね。社内外に関わらず、不用意なコメントを掲載して大きなトラブルに発展する可能性もあるので、扱いに関しては現在検討している段階です。一方、トラックバックの場合は、情報元の保証などを行えばおそらく問題はないと思いますが、自由に書く雰囲気が損なわれることで、暗黙知が表に出てこないというジレンマもあります。双方のバランスだと思いますが、これからウェブログを運用するうえで考察すべき分野だと思っています」と述べる。

ウェブログを導入したばかりの同社だが、自社のニーズに合わせて最大限にMovable Typeを活用していることが伺えた。今後は、顧客企業とのコミュニケーションや社員のアイデアや創造性を促進するためのツールとして、どのようにウェブログを発展させていくのかが注目される。

■事例データ■
・Movable Type3.12商用ライセンス
・ウェブログをはじめたのは:2005年1月
・はじめた理由:CMS、IPアドレスによるアクセス管理
・制作を担当したのは:社内
・何か手ごたえはありましたか?:作業効率化、情報流通の拡大と適正化、顧客とのコミュニケーション

(Text/Photo by 長野弘子/Hiroko Nagano, http://blog.digi-squad.com/

  • 投稿者 Blog on Business 編集部
  • 02:01
  • カテゴリー Movable Type

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