Blog on Business

2005年06月20日

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「愛知県大口町」がTypePadを使う理由

行政機関のTypePad実用例

愛知県大口町
http://www.town.oguchi.aichi.jp/

「行政と住民とのコミュニケーション、行政同士の緩やかなネットワークを目指して」

愛知県大口町は、五条川沿いの2000本におよぶ桜並木や美しい田園風景の広がる人口2万人ほどの小さな町である。2001年度から「サイバータウンプラン」という地域のIT構想を打ち出し、情報の共有化により人と人とのコミュニケーションを図り、住民と企業と行政との協働を推進するという施策を実行している。ブロードバンド環境の整備や公式ホームページの拡充を行うほか、情報発信の効率化を図るためにホームページの一部を今年からウェブログに移行した。大口町がウェブログを導入した理由は何なのか、またウェブログに対する住民の反応やウェブログ形式のメリットなどを尋ねてみた。

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愛知県大口町の町長によるウェブログ「大口町長ブログ 雑感」

■実験的に始めた「町長ウェブログ」
大口町は、基幹産業である農業を大切にしながらも、自動車産業や工作機械関連の優良企業を多く抱えるというバランスの取れた産業構造を目指している。また、住民主体という考えを強く持ち、住民の参画と参加を促すITによる町づくり構想を強く打ち出しており、3年前にはソフトバンクのBBフォン導入のモデル地区として日本初のインターネット電話利用を行った。現在、IT推進に1億円近くの予算が費やされており、そのなかでもとくに、新たなコミュニケーションの手段としてウェブログに注目しているという。

大口町総務部情報課の丹羽弘一課長は、今回ウェブログを導入したきっかけをこう説明する。「大口町ではサイバータウンプランのもとにさまざまな情報化を進めており、公式ホームページによる情報発信もその1つです。しかし、データ更新は情報課が一括担当しているため、各課でデータが作成されてからサイト掲載されるまでに時間がかかっていました。住民にいち早く情報を伝えるためにもホームページを見直す時期にあると感じていましたが、全体のリニューアルには巨額の予算が必要になります。そこで、まず一部だけリニューアルしてみようと考えていたとき、更新が簡単で検索されやすいというウェブログの話を聞き、試験的にやってみようと思ったのです」

大口町では、酒井鍈町長が数年前から公務の最新情報やメッセージ、住民との触れ合いなど日々の雑感を綴ったホームページを開設していた。この町長の「雑感」のページは昨年以降はほぼ毎日更新されており、地域からの感想や意見もまた頻繁に町長へ届けられていた。しかし、HTML形式で書かれていたため、記事の入力、画像の掲載・更新には技術と労力が必要であり、職員が代行していたという。こうした状況から、町長は職員になるべく負担をかけない形で、効率が良く、より親しまれるページへリニューアルできる方法を探していたところ、情報課からウェブログを紹介されたという。

そこで、まず酒井町長のサイトからウェブログに移行することにした。具体的には昨年の11月あたりからウェブログへ移行する協議が行われ、委託業者がニフティの法人契約を行っていたことから、TypePadをベースとしたニフティの「ココログ」を使ってサイトを構築することにした。「ココログ プロ」プランで「上級者向け」テンプレートを使い、デザインはなるべくシンプルにしてカテゴリー機能やコメント機能は使わずトラックバック機能のみにした。開設したのは今年2月で、昨年9月までのホームページのコンテンツもまたウェブログ内にアーカイブ化した。

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大口町総務部情報課の丹羽弘一課長

■ウェブログが行政と住民との橋渡しに
実際にウェブログに移行してみて、一番大きな効果があったのは、酒井町長自身が毎日原稿を書いた記事を簡単に更新できるようになったことだという。「ウェブログに移行してから、情報課でデータを更新する必要はなく、記事の更新を直接行えるようになりました。また、宣伝や広告は一切せずに口コミだけで1日に350から400件のアクセス数があり、同規模の自治体のなかではかなり多いほうだと思います」(丹羽課長)

以前はホームページ全体のアクセス数しか把握できなかったが、ココログについているアクセス解析機能を使って、町長のページの時間別のアクセス数なども把握できるようになったという。また、掲示板やメールマガジンと比べると検索されやすい点や、写真やテキストの掲載において自由度が高いといった点もメリットとして挙げられた。

さらに、住民とのコミュニケーションに関しても大きな成果があったという。愛知県大口町政策調整室政策調整課の大森恒典氏は「酒井町長は、公務の合間や終業後にその日の出来事を振返りながらストーリーを温め、職員の手を煩わせることなく情報発信しています。『雑感』をきっかけとした地域とのふれ合いは、ウェブログだから生まれたというものではありません。ですが、ウェブログだからこそ、町長ご自身がご自身の言葉で心ある雑感を発信することが可能になったのだと思います。ウェブログがコミュニケーション・ツールとなって、住民との橋渡しに大きく貢献しています」と語る。

行政機関は執行部や議会の絡みや既存のルールが多いので、町長自らウェブログを使ってパブリックな形で自分自身の意見を述べることは珍しい。住民からの反応だけではなく、地方自治体や各所の掲示板等に書き込まれるなど思わぬ反響もあったという。

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愛知県大口町政策調整室政策調整課の大森恒典氏

■愛知万博のイベントもウェブログで紹介
大口町では、町長ウェブログを開設した後、2つ目のウェブログとして愛知万博「愛・地球博」をテーマにした「EXPO おおぐち版」を開設した。同町は愛知万博においてニカラグアをフレンドシップ国としており、ニカラグア料理を作るイベントなど数々の文化交流が行われているが、これらの様子や大口町の関係する会場やイベントの様子がほぼ毎日更新されている。

記事や写真の更新は大口町地域振興課の万博担当者2人が行っているとのこと。また、携帯電話にも対応しており、ココログ・サイトを携帯電話からキーワードで簡単に探し出すことのできる「ココモブ」、2次元バーコード対応携帯電話向けの「QRコード」を通してサイトにアクセスできる。

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「EXPO おおぐち版」

さらに、リサイクルを促進するため売り手と買い手をつなげる「大口町リサイクル情報バンク」というサービスもまた、ウェブログで試験運用中だ。売りたい品物があれば、CGIの申請フォームに入力・送信し、大口町環境経済課の担当者が確認したうえでウェブログに更新する。それを閲覧して、買いたい人は、同じように申請フォームを送信するという仕組みだ。家電製品や家具といったリサイクルの種類はTypePadのカテゴリー機能で作るなど、ウェブログの機能を利用しながらも、新しい形でウェブログを利用していきたいとしている。

■夢は"3000世帯ウェブログ"へ
大口町は、今後も積極的にウェブログを活用し、各課の情報リテラシーを高めていく予定だ。丹羽課長は、「今後は、ホームページ全体のリニューアルを実行したいと考えています。情報化が進み、コンピュータを操作できるのが当たり前の社会になりつつありますが、各課の担当者が直接ホームページを更新することにはまだまだ抵抗があります。しかし、HTMLを書いてサーバーにアップロードするのとは感覚が違い、ウェブログは更新が簡単なので、町長のウェブログは町長室で、愛知万博のウェブログは地域振興課で、リサイクル・ウェブログは環境経済課で直接運営しています。各課でウェブログを運営するというスタイルが浸透することで、各課による公の場での情報発信が変わりつつあるのを感じます」と語る。

ホームページ全体のリニューアルには、音声サービスを始めとするウェブサイトにおけるバリアフリー機能、ウェブログと他のページとのルック&フィールの統一、予算の確保など、考えなければならない課題が多いことも事実である。しかし、行政機関の透明性、地域密着型サービスの拡充がますます求められている現在、人と人との距離を縮め未来型のまちを目指す「サイバータウンプラン」を掲げる大口町は、地方行政の方向性を示すうえでもウェブログを推進していくという。大森氏は「このような短期間で、住民と行政のコミュニケーションが活発になりました。地域の力、ウェブログの持つさまざまな可能性を感じますね」と語る。

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リサイクルを促進するための「大口町リサイクル情報バンク」

今回ウェブログの制作を担当した大口ネットワークスでは、あくまで構想の段階だが、「誰でも、いつでも、どこからでも」参加できるネットワークの確立のため、住民の約半数にウェブログを開設してもらう"3000世帯ウェブログ"構想を温めている。防災や消防など地域行政の役割の多くは共通しているので、地域の行政機関同士でトラックバックを行い横の連携を強め、独立した個々のウェブログがトラックバックでつながり全体でひとつの大きなネットワークを構築することを目指す。

最後に丹羽課長はこう締めくくった。「インターネット上のみのコミュニケーションは、顔が見えないだけに誤解を招きやすいという欠点もあります。ですから、町長のウェブログはパブリックでありながらも、顔の見えるメッセージを発信することが重要だと思っています。こうした部分のバランスをうまく保ちながら、今後も住民との関係性を強めるサイト作りを行っていきたいですね」 行政と住民とのコミュニケーション、また、行政同士の緩やかなネットワークが、ウェブログを通していかに広がっていくかが注目される。

■事例データ■
TypePad
・ウェブログをはじめたのは:2005年2月
・はじめた理由:サイト・リニューアル、更新の効率化、各課の情報リテラシーの向上
・制作を担当したのは:大口ネットワークス
・何か手ごたえはありましたか?:住民とのコミュニケーション強化、アクセス増加、各課の情報リテラシーの向上

(Text/Photo by 長野弘子/Hiroko Nagano, http://blog.digi-squad.com/

  • 投稿者 Blog on Business 編集部
  • 14:10
  • カテゴリー TypePad

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