Blog on Business
2005年06月20日
「エクストラコミュニケーションズ」がMovable Type/TypePadを使う理由
ウェブ制作会社のMovable Type/TypePad実用例
エクストラコミュニケーションズ
http://www.excom.co.jp/
「ウェブログというエンジンに、何を乗せて走らせるかは運営者次第です」
三重県に本社を置くウェブ制作会社の株式会社エクストラコミュニケーションズ(以下、excom)は、最小コストで最大の効果を得るプロモーション開発や、ユーザビリティを高めて効果的にユーザーを導くためのサイト構築・運営サービスを行っている。2004年9月からはサイト構築サービスに積極的にウェブログの構築を取り入れ、オンラインクーポンサイトでのTypePadの利用、ウェブログ構築のパック商品「速宣Web」の提供など、クライアントに対してウェブログを使ったさまざまなサービスを提供している。同社がウェブログを導入した理由は何なのか、またウェブログに対するクライアントの反応やウェブログ形式のメリットなどを尋ねてみた。
■クライアント自身がタイムリーに情報発信
excomは、1999年にいち早くアフィリエイト・サービスを開始、現在はオンラインクーポン・サービスやウェブサイトの構築・運営といった地域に密着したウェブ制作事業を行っている。同社が提供しているオンラインクーポンサイト「クーポン市場」は、2004年3月に独自のCMSを使って全面リニューアルし、クーポン券をショッピンカートに入れて一括発券できる仕組みを作り上げた。こうしたCMSの開発を通して、ウェブログもまた利用価値の高いCMSとして注目したという。
同社代表取締役の前野智純氏は、ウェブログをウェブ制作の中核事業にした理由をこう語る。「弊社がウェブログに注目したのは、まず優れたCMSとしてでした。我々は、サイト構築・運営においてきめ細かなサービスを心がけており、新着情報を1?2行サイトに追加してほしいといったクライアントの要望にも即座に対応しています。しかし、更新に手間がかかっても料金を請求できないため、弊社の負担になっていました。そこで、新着情報のコーナーだけでもウェブログで構築すれば、クライアントは自分達で記事を更新できるので、双方にとって利益になると考えたのです」
当時、地元のクライアントでウェブログに詳しい人はほとんどいなかった。そこで、2004年9月頃から名古屋を中心にウェブログ関連のセミナーを開催し、ウェブログのことを知ってもらうことからまず始めたという。大阪や東京では新しいものに対する抵抗は少ないが、名古屋では堅実な商売が重視されるため、最初はセミナーの集客数も少なかったという。しかし、セミナーを重ねるうちに次第に注目が集まり、既存のクライアントに対してもウェブログをカスタマイズして試用してもらうようになった。すると、これまでHTMLを使ったことのないクライアントの数社が、簡単にサイトの更新を行えるという理由でウェブログの導入を決定したという。
同社で制作を担当する石神嘉兼氏は「クライアントの多くは中小規模のサイトですので、自分で運営したいものの技術的なことが分からない場合がほとんどです。そこで、まずはウェブログのフル構築ではなく、既存のホームページに一部ウェブログを組み込み、トップからボトムまでラインを結んであげることにしました。ウェブログ部分は、クライアント自身がタイムリーに情報発信できるようなお知らせや『○○が入荷しました』などの単発的な情報のコーナーでしたが、慣れてくると少しずつウェブログの部分を増やしたいという要望を受けますね。現在では、ウェブログの提案に対するクライアントの反応は良好で、サイト制作の仕事のほとんどは、Movable TypeかTypePadをセットにして行うようになりました」

excom代表取締役の前野智純氏。
7月上旬にウェブログの書籍「儲けを生み出す!ビジネスブログ成功の秘訣」を出版予定。
■従来サイトの1/3の時間で作成可能なウェブログ
同社が最初に手がけたウェブログ制作のひとつに、地元のエステサロンアクアストーン榊原がある。もともとホームページの制作を依頼されたが、ウェブログを一部利用すればクライアント側で更新できると説明したところ、ウェブログの導入を決めたという。通常のサイトのなかに、キャンペーン情報を掲載する「アクアトピックス」というコーナーをウェブログで組み込んでおり、MTタグを用いてトップページで記事タイトル一覧を表示している。ルック&フィールを統一しながら既存サイトにいかにウェブログを統合するかに腐心したという。
クライアントの反応は、「更新が非常に簡単になったうえ、サイトを通しての問い合わせが急増した」と良好だった。これまでも同サイトは検索エンジンの上位に位置していたが、料金表やサービス内容のみで更新情報が掲載されていなかったので、問い合わせは少なかったという。しかし、ウェブログでキャンペーンや割引情報を提供するようになってから、多くの問い合わせが来るようになった。
石神氏は、制作者側から見たメリットをこう述べる。「Movable Typeを使えば、内容を更新すると自動的にすべての場所で更新内容が反映されますので、通常のサイト制作のように2?3カ所を書き直す必要がありません。また、DreamweaverとFireworksを開いて作業するという手間もなくなり、従来のサイト制作の3分の1以下の時間で終わります。最初に使ってみたとき管理機能がものすごく簡単で驚きましたし、今後はウェブログを中心にサイト制作を行いたいと思っています。既存のクライアントのサイトもウェブログで制作できないかと考えているところです」
■担当者が自分の言葉で書くコーナーをウェブログで
NTT西日本のサービス比較サイト「くらべてみえ」もまた、Movable Typeを活用している。このサイトでは、NTT西日本が提供するインターネット接続サービスについての紹介や、各社のブロードバンドサービス比較などが掲載されているが、乗り換えキャンペーンなどを提供する「お得情報」のコーナーをMovable Typeで構築している。キャンペーン情報はカテゴリー別に分かれており、スタイルシートを使って、カテゴリー別に異なるアイコンが掲載される。また、新たな「お得情報」が追加されると、トップページに記事タイトルが表示されるようになっている。
営業担当の木根英男氏は「こうしたキャンペーン情報は、いかに分かりやすくエンドユーザーに伝えるかが重要ですので、我々ではなく(NTT西日本の)担当者自身が直接書いて更新したほうがいいと判断しました。そこで、担当者が自分の言葉で書くコーナーだけをウェブログで構築することにしました。コンテンツは担当者が作成し、自分たちでアップロードしています。ウェブログを使えば、どちらが更新するにしても効率化できるので、最初にライセンス料金などの金額は発生しますが、長期的に大きなメリットがあると感じています」と語る。
■クーポン市場で店舗に「TypePad」を提供
excomでは、自社サイト自身を全面ウェブログで運営しているほか、ユニークな試みとして、同社が提供するオンラインクーポンサイト「クーポン市場」の参加企業に対して、TypePadサービスを提供している。再販可能なTypePadの年間利用権※「TypePad(Pro) 年間ライセンス」を購入、今年2月末からサービスを開始した。クーポン市場は三重県を中心に350社の参加企業があり、10万人のユニークユーザーを抱えている。現在、6社がTypePadを使いウェブログを運営している。
前野氏は「クーポン市場の参加企業の多くは飲食店や美容院で、ホームページを持っていない企業も多数あります。自社サイトを制作するとなると、少なくとも数十万円がかかりますので、簡単に始めることのできるTypePadからまず紹介していこうと考えました。もっと多くの機能が欲しくなってきたら、サーバーなどを用意してMovable Typeに移行してもらう可能性もあります。また、各自が常時ウェブログを更新することで、新鮮な情報を発信する場所としてクーポン市場が活発化されることを期待しています。現在はサイト右側に『クーポン市場ブログ』としてウェブログ運営店舗名が掲載されていますが、もう少しウェブログを運営する企業が増えたら、サイト中にpingサーバーを立てて、更新された店舗がトップページに掲載されるようにしたいですね」と抱負を語る。
とくに、中小規模の店舗や企業にとっては自社をうまく宣伝するノウハウがないところが多く、単にサイトを開設しても何を書いていいか分からない場合がある。そこで、ウェブログで日記のような感覚で書き込んでいくことで、自然に自社の長所や運営者の個性をアピールすることができる。こちらが発した情報に対して人々からダイレクトな反応があるウェブログを使うことで、インターネットの楽しさに気づくクライアントが増えたという意外な効果もあったという。
■「速宣WEB」でウェブログがより身近に
excomは、より簡単にウェブログを始めたいというニーズに応え、これまでのウェブログ構築サービスで培ったノウハウを集約したパック商品「速宣WEB」の提供を4月28日から開始した。この商品はMovable Typeの導入カスタマイズ・サービスで、価格は21万円に一本化した。同社が用意したヒアリングシートに必要事項を記入するだけで、各種テンプレートやスタイルシートをクライアント向けにカスタマイズする仕組みだ。
石神氏は「ウェブログの構造は共通しており各パーツはすべてモジュール化されているので、ヒヤリングシートにより詳細を把握したうえでモジュールを選び、スタイルシートでレイアウトを定義します。デザインするのはヘッダーとイメージ画像だけなので、10日以内というスピーディーな納品が可能になりました」と語る。
初年度の売上2000万円を目指す前野氏は、今後はありとあらゆる分野でウェブログが有効活用されていくと予測する。「たとえば、ECサイトとウェブログのデータベースを共有して統合することで、商品情報とレビュ?や評価をひも付けることができます。もともとウェブログを運営することでSEO効果を実感しているECサイトが多いので、ショッピング機能と連携させることでさらなる相乗効果が生まれるのではないでしょうか。また、XOOPSなどのコミュニティとも連携したサービスができればもっと面白くなると思います。ウェブログ・ソフトは喩えるとエンジンであり、その上に何を乗せて走らせるかは運営者次第です。ですから、RSS機能やトラックバックなどの独特な機能をよく知り、このエンジンを使って何ができるのかを知ることが大事ですね」
ウェブログには決まった使い方がなく、使い方次第でいろんな発想が生まれてくる。多くの企業が、ウェブログを運営することで注目されて顧客が増えるなどの効果が生まれているなか、これからも頭を柔らかくしてウェブログを利用した様々なアイデアが生み出されることに期待したい。

excom制作担当・石神嘉兼氏(左)と営業担当・木根英男氏(右)
■事例データ■
・Movable Type、TypePad(Pro) 年間ライセンス(25user パック)
・ウェブログをはじめたのは:2004年9月頃
・はじめた理由:更新の効率化、SEO対策
・クライアント:アクアストーン榊原、NTT西日本、その他
・何か手ごたえはありましたか?:更新の効率化、SEO対策、顧客満足度アップ、新事業開拓
(Text/Photo by 長野弘子/Hiroko Nagano, http://blog.digi-squad.com/)
※現在はTypePad ビジネスをお勧めしております
- 投稿者 Blog on Business 編集部
- 16:35
- カテゴリー Movable Type




