Blog on Business
2005年07月29日
スペースアルクがMovable Typeを使う理由
『スペースアルク 受験』のMovable Type実用例
スペースアルクは、外国語教材を中心に扱う出版社・アルクのWeb部門だ。2005年6月27日より、同社初となるブログで構築されたコンテンツ『スペースアルク 受験』を開始した。受験生による受験日記ブログや、教師による受験対策ブログなどの実用的な内容から、現役大学生がつづる大学生活ブログなど、受験生世代をターゲットにした内容を展開している。
■「HTMLを未だによく知らないんですよ」
「Movable Typeを覚えたのは1ヶ月半ぐらいですね」。そう語るのは、『スペースアルク 受験』の制作・管理を担当するブログプロデューサー・澤麻紀さんだ。澤さんがアルクに入社したのは2005年5月のこと。それまで、仕事でIllustratorを利用していた経験はあったものの、Web制作の経験はゼロで、HTMLすら知らなかったという。
そんな澤さんに用意された仕事は、1ヶ月半でMovable Typeを使ってサイトを立ち上げることだった。無謀とも思える課題だが、澤さんは見事その課題をこなしてみせた。「1ヶ月半でMovable Typeを使って受験のコンテンツを立ち上げろ、と言ったら、ちゃんと期日に間に合って、しかもウチの中でもアクセス数をそれなりに稼ぐコンテンツになった」と、企画担当の取締役・森田正康氏は語る。
Movable Typeを使いこなせるようになった現在でも、澤さんはHTMLに不慣れだという。そんな澤さんがMovable Typeを使いこなせるようになったコツは何だろうか。
「入社前に自分でもブログを書いていたことがあったから、中の仕組みがどうなっているのか、なんとなく予想が付いていたんです。だから、Movable Typeを勉強する上で違和感はありませんでした」(澤さん)。仕組みがわかっていればこそ、通常のWeb制作ソフトが持っているような外観的な操作体系に惑わされずに、シンプルにMovable Typeを理解できたのだろう。
■テーマは「無我夢中」
そうはいっても、澤さんにとって初めてのブログ構築は簡単なものではなかった。入社して1週間後にはMovable TypeのIDをもらい、本を見ながら試行錯誤を繰り返していたという。実質的な作業は澤さん1人。澤さんも森田さんもWeb制作のプロというわけではなかったので、無我夢中の模索が続く。森田さんが「カラム表示の参考に」とURLを送ったWebページが、実はHTMLのテーブルタグを使ったものだった、なんていう話もあったという。
森田さんの要求に、澤さんが応えようと努力する、そんな日々が続いた。「1日2回ぐらいは、無理です! という言葉を聞いたよね。でも、無理です無理ですと言う割には、結局ほとんどの要求を実現してくれた。」(森田さん)
3カラム表示にする方法がどうしてもわからなかったのが、『受験』オープン日の4日前に急にひらめき、3日間徹夜してソースを書き直した。結果、オープン時とその1週間前とでは全く別のサイトになったという。「家に帰ってから徹夜作業をすることが多かったので、隠れたところで苦労してますね」(澤さん)。
その苦労は無駄ではなかった。アクセス数は順調に伸びており、今後『受験』をモデルケースとして、他のジャンルもMovable Typeで構築することが検討されているという。

アルクの澤さん(左)と、森田さん(右)
■Web制作のプロじゃないから、Movable Typeを選んだ。
もともとスペースアルクはHTMLベースのサイトを構築していた。そこに、なぜわざわざブログベースのコンテンツを構築することになったのだろうか。その答えは明確だ。
「アクセス数はコンテンツの更新頻度で決まってくるのに、いちいち手作業で更新していくのは効率が良くない。だからコンテンツマネジメントシステム(CMS)を導入しようという話になりました。無料のCMSも検討したのですが、事業で使うのだから企業がサポートしているものが良いと言うことで、最終的にMovable Typeを採用しました」(森田さん)
サポート以外の面でも、ユーザー数の多さもMovable Type採用の決め手だったという。「いざとなったら他の人からノウハウを聞けるんじゃないかという期待もありました。自分たちがWeb制作のプロになれるとは思ってないですから、他のサイトから良いところを模倣して作っていく上では、ユーザー数の多いMovable Typeがベストと判断したんです」(森田さん)
■ブログという制約がクリエイティブにつながっている
Movable Typeの持っている機能的な限界は、決して企画の妨げにならないどころか、逆にクリエイティブな発想につながるというのが、森田さんの主張だ。「企画を立てているうちにふくらみすぎてしまい、費用対効果で非現実的なものになってしまうことがある。ツールが持っている機能的制限がルールとして機能することで、企画がまとまりやすくなるんです」(森田さん)
コンテンツ企画の機動性という点でも、ブログは非常に優れているという。「IDを1つ増やせば、コンテンツが1つ増えるわけですから。たとえば、受験問題のQ&Aをブログ上でやりとりするコンテンツや、トラックバックで行なう早押しクイズといった企画も、特に大きなサイト変更を行なわなくとも、IDを増やせば実現できるわけです。企画を思いついたら、明日にでも始めることができる。これまでは何か企画を立てるにも、技術的に可能か、費用対効果は? なんてところからスタートしていたから、プロデューサーたちは企画を考えやすくなったと思いますよ」(森田さん)
実際、企画の発案から実現までの流れは実にスムーズだ。たとえば『受験』執筆者の選定だ。森田さんによれば、執筆者たちは「サイト検索で見つけてきたり、レストランでヘッドハントしてきた」人たちだというが、おもしろいと思った人たちを、即座にコンテンツにできるのが、ビジネスでブログを使う大きな利点だという。「紙の本だったらそこらで出会った人にすぐ書かせるとはいかないけれど、ブログだったらIDを渡すだけで彼らの可能性を試せるというのがすばらしいんですよ」(森田さん)
今後、『受験』以外にも、『セレブ』『和食』『お買い物』などのジャンルをMovable Typeで立ち上げることを企画しているという。
■事例データ■
・Movable Type商用ライセンス
・ビジネスブログをはじめたのは:2005年6月27日から
・はじめた理由:コンテンツ運用にCMSがどれだけ有効なのかを試すため
・制作を担当したのは:ブログプロデューサー・澤さんと、企画担当・森田さんの2人
・何か手ごたえはありましたか?:むちゃくちゃ大きい訳じゃないですけれど、順調にアクセス数は伸びている
(Text by 細谷滝音(島医者) / Takio Hosoya(Shimaisha))
- 投稿者 Blog on Business 編集部
- 19:00
- カテゴリー Movable Type
トラックバック
- トラックバック URL

