Blog on Business
2005年09月20日
柴田書店がMovable Typeとココログを使う理由
『食の殿堂 柴田書店』のMovable Type実用例
『食の殿堂 柴田書店 RESTAURANTS-NEWS.COM』のココログ実用例
柴田書店は、「月刊食堂」「専門料理」等の雑誌や、料理やメニューに関する数多くの書籍を手がける「食」の総合出版社である。2005年1月には、オフィシャルサイトをブログ中心の構成でリニューアルオープン。サイト内には複数のブログが設置され、膨大なコンテンツの集積所となっている。このサイト構築を1から10まで手がけた「RESTAURANTS-NEWS.COM」編集長 兼「dining」編集長の浅井裕子さんに、Movable Typeおよびココログの活用などについて話をうかがった。

※柴田書店のトップページ。こちらはXOOPSで構築され、ここから各コンテンツに合わせて構築されたブログにジャンプする
■複数のコンテンツを複数のブログで構築
「以前、柴田書店のホームページはHTMLで組まれた普通のサイトだったのですが、『本の直販』を目的にリニューアルすることになりました。ただ、最初からお客様に本を買ってもらおうとするだけじゃなく、当社はレストラン業界においてどこよりも早く最新情報を押さえられるのが最大の強みです。そこで、
- (1)通常の会社案内、ほか
- (2)書籍や雑誌のオンラインショップ
- (3)レストランに関する最新ニュースを掲載するサイト
をサイトの3本柱と位置付け、それぞれをどういう形で構築し、1つのサイトとしてまとめるのかを考えました」
サイトの概要を解説してくれた浅井さんは、システム技術者でもプログラマーでもない。にもかかわらず、ウェブ構築に必要なプログラムの知識を独学し、さまざまなツールをサーバにインストールするなど、新サイトづくりに向けて日々研究を重ねたそうだ。そんな折、まず約10年個人的に会員を続けてきたニフティが提供するTypePadベースの「ココログ」に注目。ドメインマッピングを利用して、レストラン関連のニュースサイト「RESTAURANTS-NEWS.COM」をスタートさせた。
「レストランニュースは、社外の人間を含め複数の書き手で更新していくブログなので、結果的にココログの選択は大正解だったと思います。というのも、まずサーバのメンテナンスを自前でやらなくていいので、何かトラブルが発生してもニフティがケアしてくれます。あと、使い方がわからない場合でもヘルプが用意されているので、こちらが社外の書き手にわざわざガイドしなくて済みました」
その一方、オンラインショップやメールマガジンなどは、Movable Typeで構築されている。こちらは、外部の書き手ではなくすべて社内運営であること、本や書籍の販売やレビューが「shibatashoten.co.jp」のドメイン内にあることがツール選定のポイントだった。
「サイト内にはセミナーの予約ページなども含まれるので、トップページなどはPHPプログラムを使えるXOOPSを使いました。ただ、XOOPSは表示デザインのカスタマイズがやりづらい。その点、Movable Typeなら1つのブログに対して1つのデザインがつくれる。サイトの見せ方、デザインの柔軟性、そしてインターフェースが使い慣れたココログと似ているなどの理由で、Movable Typeをトップページの下に入れ、完全なデータベース由来のオンラインショップのブログを作成しました」(浅井さん)
■オンラインショップのブログ構築は「立ち読み」を意識
つまり、柴田書店のサイトは、単一のブログで構築されているのではなく、そのサイトの目的ごとに異なるツールでつくられたブログが混在しているというわけだ。無論、立派な"箱物"(=ブログ)が用意されても、その中に入るコンテンツが利用者の役に立っていなければ意味がない。しかし、柴田書店は「食の総合出版社」。柴田書店のブログの強みは、文章の書けるプロの編集者を社内にわんさか抱えている点にある。
「オンラインショップの場合は、最初からピンポイントで『○○さんが書いた焼き菓子の本』を買いに来る人よりも、ただ単に『焼き菓子の本』を探しに来る人が多い。そこで、カテゴリーでたくさんの本をズラっと上から下まで並べて見せ、書名と価格の下に必ず概要を載せています。さらに、ブログ特有のよりパーソナルな声として、『担当編集者より editors eye』という紹介文を入れることで、書店やCDショップに立っているポップを読む感覚で、楽しく本を探してもらえる工夫をしました」
最近では、書店の店員が本の内容をウェブで探し、発注の参考にしているケースもあるそうだ。そもそも、一般客は本屋に行く前にウェブで調べることが多いため、オンラインショップでは"立ち読み"スタイルで本が探せるような工夫が盛り込まれた。

※柴田書店オンラインショップ。各メニュー(カテゴリー)ごとに探したい本がズラリと表示される。書籍や雑誌は、目次をPDFでダウンロード可。
一方、ココログでつくられた「レストランニュース」は、新店オープン情報やイベントなど、レストラン関連ニュースが取り上げられている。さらに、レストラン業界の著名人によるコラムも掲載されているが、浅井さんは「レストラン業界の関係者は、ブログを書くのに向いている」という。
「飲食店の人はみんな親切でマメなんですよ。基本的に、ブログは親切でマメじゃないと続けられないと思います。というのも、ブログは不特定多数の閲覧者から何らかの反応が返ってくる可能性がすごく高いので、それに対して親切に答えて、なおかつ大人の対応ができないとトラブルが起こりやすい。ビジネスブログは企業のホームページで運営するわけですから、書き手がトラブルを起こすと私たちの会社のブランドも傷ついてしまいます」
■コンテンツのプロが運営するブログの効果は?
通常のホームページをブログに切り替えたことによって、各数値にも大きな変化が見られた。もっとも顕著な数字は書籍、雑誌のオンラインにおける売上高だ。リニューアル前は月間十数万円~数十万円程度だったが、今年1月のサイトオープン後はグングンと伸び、現在は月額200万円に達したという。
「もちろん、一番の要因はクレジットカードとコンビニ決済ができる買い物カゴを用意したことです。が、さらにMovable Typeと組み合わせて商品をデータベースとして表示させて、ユーザーが見やすい・買いやすい状況を作れたことも要因の1つだと思います」

※ココログをつかったRESTAURANTS-NEWS.COM(レストランニュース)。各種ニュース、コラムほか、同社編集部員が集めた飲食専門店のデータベース「この道ひとすじ食堂街」などのコンテンツも充実している。
このほか、ページビューは全体で当初の15倍、「問い合わせフォーム」からは毎日何らかの問い合わせが来るようになったという。「こんな本ない?」というメールには、商品のURLを貼り付けたメールを返信。Movable Typeで生成された静的なページは、アドヴァイザー的な役割として活用されている。
「あと面白いのは、レストランニュースのコラム記事に、レストラン業界の人たちがコメントを寄せてくれるようになったことでしょうか。同じ業界で相互交流が生まれて、次の商品化ニーズを探れるきっかけにもなりつつあるようです」
これだけの規模のブログを管理・更新するだけでも驚きだが、浅井さんのアイデアは尽きない。上記ブログをスタートさせたあと、「メールセンター」(メールマガジンのアーカイブと登録受付)をつくった。さらに今後も、ブログを使ったサイト拡大を計画しているようだ。
「『メールセンター』は、過去のメールマガジンのダイジェストを特集的に案内するブログとしてあとから追加しました。メルマガ購読者を増やす目的もありますが、メルマガを取ってない人でもこのバックナンバーを見て商品に興味をもってもらえれば、と。あとは、いま月刊誌の販促を目的とした新しいサイトのドメインを保全しているので、いずれサイト内に増設したいと思っています」
■事例データ■
・Movable Type商用ライセンス、ココログ
・ビジネスブログをオープンさせたのは:2005年1月
・はじめた理由:書籍、雑誌の売上アップ。ニュースサイト、オンラインショップ、会社案内の3つのコンテンツの柱を同じサイト内で、それぞれの方法論で展開したかった
・制作を担当したのは:システム構築、デザインは浅井さん。ブログの書き手は柴田書店の社員。PDFファイル生成や画像処理等、初期段階における大量のデータ処理のみ外注。
・何か手ごたえはありましたか?:売上高の大幅アップ、PVは15倍に。レストラン関係者からのコメントで、新たな交流のきっかけに。
Text by 宮脇 淳(ノオト) / Atsushi miyawaki(note)
- 投稿者 Blog on Business 編集部
- 17:47
- カテゴリー Movable Type
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