Blog on Business

2005年12月27日

印刷アイコン このページを印刷する

三鷹天命反転住宅BLOGがMovable Typeを使う理由

『三鷹天命反転住宅BLOG』のMovable Type実用例
http://www.architectural-body.com/mitaka/

現代芸術家の荒川修作をご存じだろうか。彼はパートナーのマドリン・ギンズとともに"天命反転"という構想を掲げ、95年には岐阜県養老郡に「養老天命反転地」をオープン。さらに、05年には三鷹郊外に超未来住宅「三鷹天命反転住宅 In Memory of Helen Keller」を完成させた。荒川+ギンズがなぜこんな住宅をつくったのか? そして、この分譲マンションの販促ツールとしてウェブログをどのように活用しているのか? 三鷹天命反転住宅BLOGを構築した株式会社ABRFの松田剛佳さんにお話をうかがった。

bob_mitakatenmeihanten_top.JPG

■ビジュアルではなく文章で伝えられること
ウェブログのビジネス活用事例として、いわゆる「建築ブログ」の事例は非常に興味深い。というのも、建設中の物件が完成していく様子を日々記録したウェブログは、読み手にとって非常に興味深いコンテンツとなり、企業にとっては見込み顧客の獲得につながる有効なマーケティング・ツールになるからだ。

しかし、荒川修作+マドリン・ギンズの三鷹天命反転住宅BLOGは、完成までの過程を公開した建築ブログではない。最終目標は、この分譲マンションの販売である。と同時に、三鷹天命反転住宅BLOGの大きな目的は、この作品のコンセプトを伝えることにある。

「荒川修作+マドリン・ギンズの作品には、一貫して"天命反転"という明確なコンセプトがあります。これはなかなか説明しづらい部分でもあるのですが、『どうせみんな死んでしまうんだから......』という考えが世の中を悪くしている。だから、荒川+ギンズは『もっとこういう風にポジティブに生きていけばいいんだ』というメッセージを作品で発信しているんです」

しかし、作品の写真を単にウェブサイトに掲載するだけでは、彼らのコンセプトはなかなか閲覧者に伝わらない。そこで思いついたのが、「二人の作品をビジュアルではなく、本人たちが発しているメッセージで伝えていこう」というものだった。つまり、テキストが主体となるウェブログは、この目的を実現する手段として最適だったというわけだ。

■本人の言葉ではなく、関係者の言葉で
三鷹天命反転住宅BLOGは、更新頻度はさほど高くないものの、1つ1つのエントリーはかなり力の入った記事になっている。通常は、閲覧者が読みやすいようにテキストを小分けにしたり、SEO対策として「1つの記事には1つの話題」がセオリーだ。しかし、芸術家がつくった住宅のコンセプトを読者に誤解を与えずに文章で伝えるためには、きちんとした完成原稿にする必要があったという。

「とはいえ、ウェブログをスタッフが書くと、独りよがりになってしまう部分も出てきます。そこで、読者に三鷹天命反転住宅とは何か?を知っていただくために、荒川+ギンズの直接的な言葉ではなく、この二人の芸術家と何度も激論を交わした工務店や建材会社の担当者へのインタビューを公開しました。荒川+ギンズのコンセプトがいかに現場で具現化されていったのか、実際に施工した側の人間がこの住宅のコンセプトをどんな言葉で語るのか。そこから、三鷹天命反転住宅のコンセプトが読んでいただく方々にご理解いただけるのではないかと考えたのです」

abrf_mitaka_madori.jpg
志段味循環型モデル住宅の模型

今回、三鷹天命反転住宅BLOGを構築するに当たって、松田さんは複数のウェブログ・ツールを試したそうだ。そのなかでMovable Typeを選んだ決め手は、その自由度の高さにある。

「ウェブログとは何か?と考えた場合、やはりシックス・アパートの製品がいま基本になっていると思うんです。デザインの自由度が高く、読者にとってわかりやすいインターフェースをつくることができます。さらに今回、自社サーバで運営したいという希望がありました。Movable Typeは導入コストが安く、インストール手順がわかりやすいという点でも安心して使えました」

■ウェブログはいまの時代感をもったメディアである
取材中、松田さんは「作品というのは、実際に見てもらうことでしか伝わらないことがあると思うんです」という言葉を口にした。作品を見られることなく語られるのは、作品にとって非常に不本意なことである、と。そこで、実際に作品を見てもらうきっかけになるものとして、さらにその作品の本質を伝える補助的なインターフェースとして、「三鷹天命反転住宅BLOG」の果たした役割は大きかったという。

「トラックバックを通じて、『荒川+ギンズがこんなことを考えているとは思わなかった』など、読者からの反応がダイレクトに返ってくることがとても印象的でした。しかも、そのスピードが早い。これはニューヨークの制作スタッフたちも非常に驚いていました(笑)。あと、具体的な効果としては他メディアからのアクセスしていただく機会が増えましたね。取材のお問い合わせの約8割はウェブログ経由でいただきましたから」

abrf_matsudatakeyoshi.jpg
株式会社ABRF 松田剛佳さん

ウェブログの普及以前は、プレスリリース配信会社が各メディアにファクスやメールなどで情報を発信していたが、ウェブログによってさまざまな情報がダイレクトに伝わる時代となった。また、「三鷹 ブログ」で検索すると、GoogleとYahoo! Janapの両方で検索結果のトップに「三鷹天命反転住宅BLOG」が表示される(2005年12月現在)。このSEO効果によって、三鷹天命反転住宅を知ってもらえるきっかけとなるのはウェブログの長所の1つである。

「荒川+ギンズは『いま世の中には絶対的な目標と希望が足りない』と言っています。そして、彼らの作品には『世の中をもっと良い方向に変えよう』という想いがあります。今回は荒川+ギンズのコンセプトを知っていただく有効なチャンネルの1つとしてウェブログを利用しました。そういう意味で、ウェブログはいまの時代感をもった非常にチャンスのあるメディアではないでしょうか」

■事例データ■
・Movable Type商用ライセンス
・ビジネスブログをオープンさせたのは:2005年4月26日
・はじめた理由:三鷹天命反転住宅の宣伝広報。荒川+ギンズの思想をウェブログを通じて読者に伝えること
・制作を担当したのは:株式会社ABRF
・何か手ごたえはありましたか?:トラックバックによる読者からのビビッドな反応。テレビや雑誌など、マスメディアからの取材依頼(問い合わせ)の約8割がブログ経由

Text by 宮脇 淳(ノオト) / Atsuthi Miyawaki(Note Inc.

  • 投稿者 Blog on Business 編集部
  • 13:00
  • カテゴリー Movable Type

トラックバック

トラックバック URL

印刷アイコン このページを印刷する

このページのトップへ