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2006年05月10日

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『アップリンク』がMovable Typeを利用する理由

「日本初」だそうである。2003年頃に有限会社アップリンクが、自社配給映画の新聞広告に打った言葉である。日本初のブログツールで構築された会社サイトが公開されたというのだ。今でこそ、Webデザイン雑誌でCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)が特集され、Movable TypeのCMSとしての機能に注目が集まっているが、シックス・アパート日本法人が設立されたのは2003年12月のことだったので、本当に日本初だったかもしれない。

映画配給や書籍・雑誌出版などを行い、イベントスペース「アップリンクファクトリー」「アップリンクX」なども運営するアップリンクのサイトには、ひっきりなしに最新ニュースが並ぶ。HTMLによる手作業のサイト構築から、CMSを利用した更新に切り替えたのは必然とも言えるが、当時まだユーザーの少なかったブログに目を付けたその早さには驚きである。アップリンクはいかにして、Movable Typeに出会ったのか、そしてどのようにサイトを構築したのか、アップリンク取締役社長・浅井隆(あさい・たかし)さんと、サイト構築を手がけた濱田智(はまだ・さとし)さんにお話を聞いた。

Movable Typeでポータルサイトを構築したいと思っている人々、必見である。

uplink1.gif
サイト全体をMovable Typeで構築したページとしては、かなり凝った部類に入る。

■Webマガジンはもう古いと思った
それは、2003年の東大駒場でのことだった。東京大学教養課程では学生が好きな人を呼んで授業をしてもらう制度があるのだが、そこに浅井さんが講師として呼ばれた。ある時、アップリンクが出していた「骰子(ダイス)」という休刊予定の雑誌をWebで継続できないか、学生と一緒に考えようという授業を行ったとき、ある学生が『はてなダイアリー』について教えてくれたという。

Webという場所で情報を発信するとき、どのようなやり方が考えられるか...「留学生が良くチェックするのはjapantoday.com(編注:現在のcrisscross.com)でそれぞれの記事にあるdiscuss itをクリックするとコメントがつけられる」「ブログという新しいメディアがある」などなど、学生から興味深い話が述べられる。聞いた様々な情報から、浅井さんはある方法論に行き着く。

「雑誌の方法論は古い。だからWebマガジンという形態はもう古いと思った。ポータルサイトにならなければ。Webはインタラクティブだからと思いました。」(浅井さん)

たとえば、映画の批評を掲載しなくても、コメントやトラックバックを引っ張ってこれる、ユーザーが記事を作ってくれるのではないか。そう思った浅井さんは、社長命令でブログによるサイト構築を開始した。2003年中にはサイトがオープン、新聞広告に日本初を謡ったが、「当時は誰もブログなんて知らなかった」(浅井さん)という。

■「更新しやすさ、それに尽きる」
浅井さんから『はてな』の話とブログによるサイト構築の話を聞いて、濱田さんは様々なツールの研究を始めた。行き着いたのは、当時まだ正式な日本版が無かったMovable Typeだった。他のツールに比べて有志による日本語ローカライズが盛んだったことも理由だが、デザインとHTMLを分離できたり、テンプレートの自由度が高かったことが採用の決め手だったという。

従来のHTMLによる更新は、Web担当者にたいへんな負担をかけていたという。アップリンクは関連事業が多いため、ニュースの量は膨大になる。とても人手が足らず更新までに数日かかることもしばしばあり、中には映画公開後にようやくサイトで情報公開ということもあったという。だがMovable Typeを採用することで、各事業の担当者が直接更新を行うことができるようになり、更新の速度は劇的に上がった。アップリンクにとって、Movable Type採用のメリット、それは「更新のしやすさ、それに尽きる」(浅井さん)という。

もちろん、それ以外のメリットもあった。ある情報を見に来た人が、他の興味ある情報にも流れるようになり、Movable Type導入前よりもアクセス数が増えたという。また、トラックバックやコメントを開放することで、イベントのゲストや関係者が自ら宣伝をすることができるようになった。映画の感想をブログ書いた人を割引するという、日本初のブロガー割引試写を行って、日経ネットニュースの取材を受けたこともあった。

「配給会社の宣伝はどうしても自画自賛っぽくなる。でも、ユーザーからのトラックバックは、映画の評価をだいたい正しく伝えているんじゃないでしょうか。ただし、自信のある作品でないと逆効果になるかもしれませんね。」(浅井さん)

Webならではの方法論、それを今でも追求し続けている。

■アップリンクで使われているプラグイン
Movable Typeでポータルサイトを構築するために、どのようなカスタマイズを行ったか、そのような点に苦労したのか、実制作を担当した濱田さんに伺ってみたところ、次のような答えが返ってきた。

「構築で苦労した点は、とにかくブログの数が多かったことですね」(濱田さん)

ポータルサイトと普通の日記サイトとの違いはリンクの数と言っていいだろう。アップリンクのサイトは、「NEWS」「FILM」などジャンルごとにブログを立ち上げ、トップページから各ブログのエントリータイトルを呼びだす方法を採っている。これは「MTOtherblog」というプラグインによるものだ。リンクを生成するのはMovable Typeに任せておけばよいが、複雑にブログやエントリーが入り乱れるため、テンプレートを作るのに少々手こずったようだ。

ただし、その苦労は作業の効率化という形で報われている。各ブログの更新は、各商品や映画の担当者に任せられ、これまでのようにWeb担当者が四苦八苦することは無くなった。また、担当者が直接更新するため、事前の内容チェックは行わず、素早い情報の更新が可能になったという。

また、各エントリーに貼った画像をサムネイル化してトップのインデックスページに掲載するために、「MTCollect」というプラグインも利用している。細かい部分だが、インデックスページを華やかにして閲覧者の興味を惹くのに効果的な方法だろう。このように同じデータを呼びだすページによって違う見せ方にするのも、作業の効率化といえる。

今後の課題として、データベースを直接操作して、スケジュールを組んで掲載する情報をコントロールしたり、各エントリーに英語訳も持たせることを考えているという。今後も、Webならではの方法論を追求したポータルサイト構築で、Movable Typeの可能性を広げていってくれるに違いない。

IMG_2643.JPG
右から、アップリンク取締役社長・浅井隆(あさい・たかし)さんと、サイト構築を手がけた濱田智(はまだ・さとし)さん。

■事例データ■
・Movable Type
・サイトを公開したのは:2003年
・はじめた理由:更新の手間を軽減することなど
・制作を担当したのは:自社開発
・何か手ごたえはありましたか?:更新速度が上がり、ユーザーのサイト滞在時間も延びた。

  • 投稿者 Blog on Business 編集部
  • 16:27
  • カテゴリー Movable Type

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