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2006年06月08日
小学館『sabra』がMovable Typeを採用する理由
小学館の『sabra』は現在の雑誌不況の中、インターネットと雑誌の連動という新しい雑誌のあり方を模索している。すでにグラビア写真の有料コンテンツの販売で実績を上げながらそこに留まらず、この2006年4月からMovable Typeを使用した、新しいビジネス展開をはじめようとしている。
■sabraの有料コンテンツ配信
1990年代末、インターネット雑誌の創刊ラッシュがあった。小学館もインターネットをカルチャーとして取り上げる雑誌『sabra』を1999年5月に創刊。数多く創刊したインターネット系雑誌は共倒れとなり次々と休刊していったが、その中でうまく路線を変えて成功したのがsabraだった。創刊後伸び悩む部数を伸ばすため、sabraは徐々にアイドルグラビアページを増加していったのだ。この作戦は当たった。
「やっぱり男性誌を売るためにはアイドルグラビアは重要なんです。でもグラビア撮影って結構お金がかかるわけですよ。ならそのコストを回収するためにインターネットで有料課金ビジネスとして回収してやろうというのが、sabraのネット展開のはじまりなんですよ。」
というのはsabra誌の副編集長を兼務しながら、sabraのウェブ全体を統括する西坂正樹氏。まだ「ブロードバンド」という言葉だけがさき走り、あまり実体のないものだった2000年。sabraは有料コンテンツの配信事業の分野で成功を収める。創刊当初の想定とは違う形ではあるが、ネットとの融合がうまくいったのだ。
■無料コンテンツ&広告というモデル
しかし、有料のコンテンツ配信ビジネスの状況も大きく変わってきた。ブロードバンドという市場に競合他社が様子見を決め込む中、sabraは他社に先行する形で有料コンテンツの配信で利益を上げることができた。しかし、次第に競合相手が増え、現在は過当競争が繰り広げられている。その中でsabraは新しい展開を打ち出した。
「今までは課金というモデルでネットを考えてきたんですけど、ネットの現状を見てみると、無料のコンテンツを見せて広告収入を得るというモデルも、もうひとつの主流になってきている。われわれも、これまでの有料コンテンツと並行し、さらに相乗効果が出るような形で無料コンテンツも走らせようということになったんです」
無料コンテンツ充実のため、最初にスタートさせたのは編集部の内部の人間が持ち回りでエントリーを書くブログ『sabraUra(サブラウラ)』だ。
「一般人のブログが雑誌など既存のマスメディアをつぶすっていわれたり、Web2.0という皆が発信して皆が受けるみたいな時代がくるといわれているんですけど、僕たち雑誌メディアもブログを目の敵をするんではなくて、逆に一般の人たちと同じ土壌に建った上で、自分たちだからできることをやれればいいんじゃないかと思っているんです。その形のひとつが、sabra初のブログ=『sabraUra(サブラウラ)』です」
『サブラウラ』では編集部の日常や取材の裏側を見ることができる。そんなもの興味がない?なるほど、では、ほぼ毎日のように編集部に現れるアイドルたちのプライベートショットが公開されているといえばどうだろう?例えば、こんな感じだ。
有料コンテンツでは気合いの入ったグラビア写真を見ることができ、無料コンテンツでは普段のままのプライベート写真を見ることができる。これがsabra的なネットコンテンツのあり方だ。そして、この『sabraUra』に続いて現在進行中の企画がある。
「もうひとつはWeb2.0時代に対応した新アイドルの発掘ですね。Web2.0的な誰もがアイドルになれるんじゃないかっていう幻想をそのままぶつけたアイドル発掘プロジェクトです。応募してもらって予選を通った女のコにブログをはじめてもらい、ユーザーから『アイドル』と認められ、勝ち残った女のコをグラビアデビューさせるというものなんですけど、こちらから内容のチェックや出来レース的な操作をするのではなく、本当に素のままにブログを更新してもらいます。しかも途中で飽きてやめた女のコがいても、そのままにするつもりです。それもブログらしいじゃないですか。何かが生まれるかもしれないけど、まったく生まれないかもしれないっていう(笑)」
■最小単位の構成で安くスピーディに
社内のネット事業に関しては、すべて内部のインフラで賄うという流れよりも、フレキシブルにASPや外の製作会社を利用するというのが一般的だ。大手出版社である小学館には、社内にネットのインフラの管理部門もあれば、システムやサポートを受け持つ関連会社もある。しかしsabraの場合は編集部の裁量でアウトソーシングを活用したウェブの運営を行っている。sabraのブログの構築・デザインを担当したのはウェブコンテンツ製作会社のアトリウム。プロデューサーの安部淳一氏。仕事としてブログに関わるのはこれがはじめてだったようだ。
「ブログの場合は構築というほどの大げさなものではないですよね。柔軟かつスピーディに対応しなくちゃいけないという中で選んだのがMovable Typeです。社内の連絡用にブログを使っていたというのもあってある程度わかっていましたから。ただウェブ制作会社という立場からいえば、従来のウェブサイトとブログのデザインの違いというのは大きくて、HTMLからCSSというだけでなく、それこそWeb2.0的なものの考え方から考え直さなくてはいけないというような意識の変化からはじめた部分はありました」
sabraの編集部と「これはできるか? どうすればできるか?」といったやり取りを繰り返しながら、ひとつずつ反映させていくことでブログが出来上がっていったという。それがここでいう「柔軟かつスピーディ」の意味。サーバも外部のレンタルサーバを使用してるとのこと。レンタルサーバとMovable Typeという組み合わせならそれこそ契約開始当日からサイトを立ち上げることが可能。まさに最小単位の構成だ。
■これからの雑誌の生きる道
テレビ番組や映画のプロモーションにはウェブサイト、特に最近ではブログは欠かせないものになりつつある。意外に雑誌はここが弱い。そんな中でsabraのあり方は、雑誌の生き残るための道をひとつ提示しているといえる。sabraがそうであるのはスタッフの意識にヒントがあるのかもしれない。
「僕は編集者はおもしろいものを作る人であり、小学館はコンテンツホルダーであり続ける必要があると思っています。ただし、昔とは状況が違っていて、一方的に"これ、おもしろいだろ"って一方的に押し付けるだけでは届き難くなっている。そういう時代ではなくなってきてますよね。ウェブでも誌面でも楽しむための場を作るには、読者を巻き込むのはもちろん、メーカーもその輪の中に組み入れ、以前であれば広告部の領域だった交渉事なんかも必要です。編集の仕事の領域は広がっていますよね」
この意識のある出版人はまだそう多くはないのでは? 出版の反撃、第一歩のためには、この辺りの意識から学べることは多そうだ。
小学館『sabra』の事例データ
・Movable Type
・サイトを公開したのは:2006年4月7日
・はじめた理由:無料コンテンツを充実させ新たなビジネスを展開するため
・制作を担当したのは:アトリウム(http://gravure.jp/)
・何か手ごたえはありましたか?:雑誌の発売日にアクセスが集中するのでなく、定期的
- 投稿者 Blog on Business 編集部
- 18:46
- カテゴリー Movable Type
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