Blog on Business
2006年07月25日
CNET Japan 『読者ブログ』がTypePadを使う理由
CNET Japanはこの4月のリニューアルとともに"CNET Japan読者ブログ"という新たな企画に着手した。ニュースメディアがブログを一般の読者に向けて開放するという試みはこれまでにない新しいアイデア。 CNET Japanはこの読者ブログで何をやろうとしているのか?
▼CNET Japan『読者ブログ』のトップページ
Copyright(C) CNET Networks, Inc. 2006
「サービスプロバイダーのブログサービスように"誰でもブログが始められます"というものではないんです。これまでもCNET Japanでは"CNET Japan ブログ"といって、社会的にも自らのスタンスを持っている方にブログを執筆していただいています。その一方で、CNET Japanの読者も発信したいオピニオンを持っていると考え、"オピニオンを持った人"が、CNET Japan上で意見を発表し、また別のオピニオンを持っている読者と意見を取り交わす場があってもいいのではないかと思ったんです。」
こう答えるのはシーネットネットワークスジャパン経営企画室の宮一良彦さん。宮一さんの言う「オピニオンを持っている読者が意見を取り交わす場」とは一体何なのか? それはユーザーの参加による変化、つまりCGM(消費者発信型メディア)という視点の導入だ。CGMとはユーザー側の発信する情報が積み重なり、価値を生んでいく性質を持つサービスのことで、今成功しているネットサービスの多くがこの要素を持つといわれている。例えば話題のYouTubeは、参加者が動画を共有するサービスだが、その膨大なコンテンツを目当てに人が集まり価値を生んでいる。またAmazonも単なるEコマースサイトではなく、ユーザーの書いた商品のレビューが価値を生む仕組みになっており、十分に CGM的な要素を持ったサービスだ。
■CNET JapanにおけるCGMの実践
CGMが成功の鍵だからといって、とにかくユーザー参加型にすればうまくいくというわけではない。一歩間違えばすでに出来上がっているCNET Japanのブランドを崩すことにもなりかねない。
「メディアがブログを一般の読者に向けて開放するというのは前例がないので、予測できないことは多かったですね。読者ブロガーになるための選考は、そのためにハードルを高く設けました。」
こう答えてくれたのは「CNET Japan読者ブログ」立ち上げのプロジェクトリーダー上之山奈津希氏。しかし、彼女の心配は杞憂に終わった。
「選考で落とした方はほとんどいなかったんですよ。思いのほか、私たちの意図を汲んでくれている、それぞれに違った興味深い目線を持ち、熱心に文章を書いてくれる読者ばかりでしたね。4月のローンチの時点で、50人くらいいればいいと思っていたのに、予想より多い約70人でスタートすることができました。」
読者ブログは、ブログを開始する際、6つのカテゴリーから一つをメインとして選ぶ。だが、エントリーの内容は、選んだカテゴリーに限らず書ける。ここが前出のCNET Japanブログとの違いとなる。CNET Japanブログはエントリーの頭には著者の顔写真が掲載されるなどパーソナリティが重視される。一方、読者ブログはエントリー1本1本が重視される設計になっている。それがうまくいって、読者ブログはサービス開始直後からトラックバックやコメント欄などで批評や意見が飛び交うコミュニケーション空間となっている。
▼「ネット・メディア」カテゴリーの読者ブログ。カテゴリーは「通信」「セキュリティ」など6種類
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■なぜエントリーの検閲をしないのか?
運営側としては読者ブログから発せられるエントリーの質は気になるところだが、CNET Japanは検閲を一切行っていない。CNET Japanもメディアである以上、広告で収益をあげる必要がある。もし、読者ブログにスポンサーの利益に反するエントリーが投稿されたらどうするのか?
「削除はしないつもりです。例えば、ある製品やサービスのリリースが延期になったニュースがあって、それに対する批判が出たとします。それは一見ネガティブに思えても、見方によってはいいものを作るための提案として受け止めることもできますよね。コントロールしてしまってはおもしろくないですしね。」(宮一さん)
これまでのメディアとスポンサーの関係においては「臭いものには蓋をしろ」が当たり前だった。しかしウェブの世界においてはそれが逆効果になることもある。「ヨイショ」が過ぎるタイアップ記事は雑誌ではよく見かけるが、ネットでは「ヤラセ」と見られ叩かれるだろう。ネットでは読者をコントロールすることはできない。ネットのメディアでは広告主の顔色だけでなく、対等の立場として見ていく必要がある。
「ブログというツールを使う上で、その特性の一つでもある即時性を失うことにつながるなる検閲は行うつもりはありません。タイミングがキーとなることもあると考えています。読者ブログではこれまで問題は起きていません。もしブログの変わりに掲示板を使っていたら、ネガティブな方向にいった可能性はあったかもしれません。ブログというメディアだからうまくっている部分はあるでしょうね。」(上之山さん)
■Movable TypeとTypePadの使い分け
CNET Japanのもうひとつのブログコンテンツである"CNET Japanブログ"はMovable Typeで運用されているが、読者ブログで採用されたのはTypePadの方だ。なぜこのようなツールの選択が行われているのか?
「読者ブログは数を増やしたいということもあって、1つ1つのブログの作成や再構築の作業負担が少なく、利用方法などのサポートをシックス・アパートに任せられるTypePadを使いました。TypePadはポッドキャスティングのサポートも早かったですし、新しいサービスへの対応も早いですから。今後も新しい試みにチャレンジしてもらいたいですね。」(宮一さん)
ポッドキャスティングに挑戦している読者ブログはまだないようだが、やろうと思えばできる。デザインはあらかじめ設定されたものからブロガーが変更できないようにしているが、コメントの管理、IPアドレスによるアクセス制限やスパムトラックバックの削除などはすべて読者ブロガー自身の判断に委ねられている。
■読者の側のメリット
最後にCGMにおいて参加するユーザーの側のメリットを考えることも重要な要素だ。CNET Japanで読者ブログを書くことで得られるベネフィットはさまざま。
「読者ブログを書いていただいている方に、どのような形で対価を払っていくことができるかというのは常に考えています。それは原稿料という形ではなくて、さまざまな形があると思っています。アフィリエイトという可能性があるかもしれませんが、それ以外の方法があるのかもしれませんね。」(宮一さん)
まず、上にあげたようなオピニオンリーダーたちに混ざって自分の意見を言えること、CNET Japanのブランドでブログが書けること、あらかじめ多くの読者の目に留まることが約束されていることなど、魅力は多い。また、注目を集めるオピニオンをたくさん書いて自分の名前を宣伝することも可能だ。
「読者ブログはCNET Japan ブログと比較すると人を立てるスタイルではないですが、人気があるブロガーは既に何人も出てきています。エントリーランキングも活性化につながっていますね。今後読者ブログから書籍化されるなんていうケースまでいったらおもしろいですね。」(上之山さん)
シーネットネットワークスジャパンは出版ビジネスには手を出していないが、今春ベストセラーとなった『ウェブ進化論』の梅田望夫氏はCNET Japanブログで知名度を上げた。また『グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する』の著者である佐々木俊尚氏は、今現在CNET Japanブログのブロガーとして活躍中だ。ベストセラーはCNET Japanで探せというのはすでに業界のトレンドになっている。
CNET Japan読者ブログの事例データ
・ライセンス形態:TypePad ビジネス
・サイトを公開したのは:2006年4月
・はじめた理由:ユーザーがオピニオンを述べる場を用意し、読者の参加する場所を作るため。
・制作を担当したのは:社内
・何か手ごたえはありましたか?:従来のニュースサイトでは発信できない内容も発信され、内部的な活性化も生んでいる。
- 投稿者 Blog on Business 編集部
- 12:56
- カテゴリー TypePad
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CGMについて考察して参りましたが、「そもそもCGMって何?」というご質問がありましたので、私が見つけたCGMの定義を一覧としてまとめて整理してみました。
