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2006年11月30日
柏レイソルが 『レイソルブログ』 でMovable Typeを使う理由
プロのスポーツチームにとって、ファンサービスは重要な課題のひとつだ。今チームを応援してくれているファンを満足させ、さらに多くのファンを獲得するために、各チームは日夜頭を悩ませ、工夫を凝らしている。インターネットを使った活動も盛んな中、効果的な方法として注目されているのがブログによる情報発信だ。サッカーJ2リーグのクラブチームである柏レイソルも、今秋よりブログを導入。選手の声や、クラブ内部からの情報を積極的に発信している。

『レイソルブログ』 のトップページ。現在、10個のブログが開設されている
■発信元を増やすためにブログ
柏レイソルの公式ウェブサイトでは、チームに関するさまざまな情報を得ることができる。最新ニュースや現在順位、試合予定、選手一覧など、スポーツチームとして欠かせないコンテンツがずらりと並んでいるが、この秋からはそこにブログが加わった。
「以前は、会員制ページの中で広報日記を掲載していたんです。サッカーは1週間に1度か2度しか試合がありませんが、選手は毎日練習をしているし、クラブの中でもさまざまなことが起こっている。そういった事柄を伝える手段として日記を開設し、毎日更新していました」(柏レイソル 企画部広報課 横井孝佳さん)。
今までは、テレビやスポーツ紙などから得るしかなかったチーム事情がわかるとあって、「広報日記」はサイトの中でも1~2を争う人気コンテンツとして成功を収める。次に考えたのが発信元を増やすことだ。「さまざまな部署からどんどん情報発信をしていけば、よりレイソルに興味を持っていただけるんではないかと思ったんですね。そこで、公式サイトを作ってもらっている文化工房の中野さんと相談し、新しい方法を考えることにしました」(横井さん)。

広報2人で毎日更新している 『毎日更新!広報日記』。モバイルからの閲覧も可能
中野さんはこの話を聞いたとき、始めは「掲示板形式も考えた」という。しかし、最適なツールが何かを考えたときに、たどり着いたのはブログだった。
「理由はいくつかあります。まずひとつはRSSによってページ更新の告知ができること。会員制ページには、広報日記以外にも記事がいくつかあったんですが、それらは定期更新ではなかったんですね。会員の方からも、いつ更新があったのかわからないという声をいただいていました」(文化工房 中野宏樹さん)。
「書き手の都合に合わせて更新できる点もポイントですね。サッカーの試合は遠征も多いので、書き手が常に近くにいるとは限りません。いつどこからでも更新できるブログは、目的にぴったりでした」(横井さん)。
すでにブログを導入して成功を収めていたサッカーチームがいくつかあったこともあり、「ブログでいく」ことはすぐに決定した。Movable Typeを選んだ理由を尋ねると「実績があることと、インストール環境が選びやすかったことですね。ASP型の利用も考えたのですが、ドメインやデザインなど、柏レイソルとしてのイメージ統一を図るためには、サーバーインストール型を選択したほうがいいという結論になりました。価格も安価だし、Movable Typeを選ぶことに迷いはありませんでした」(中野さん)とのことだ。
■さまざまな更新スタイルに対応
柏レイソルブログのトップページを見ると、全部で10個のブログが並んでいる。会員制ページから移ってきた広報日記のほかに、クラブのスタッフが書いているブログは5つ。ファンサービス課や育成普及部、オフィシャルショップの店長など、さまざまな部署のスタッフが、それぞれの立場から発信している。
選手のブログも加わった。現在3選手のブログが更新されているが、書き手の選出は、若干難航したらしい。「クラブハウスの掲示板に 『ブログ書きたい人募集』 と書いて張り出したんですが、誰からも手が上がらなかったんですよ。それで小林亮選手をまず口説いたんですね。そうしたら 『鈴木達也選手が書くならやる』 と言われまして(笑)。小林・鈴木の両選手が決まったら加藤慎也選手も 『やりたい』 と言い出しました。本当は書きたかったみたいなんですが、照れくさかったみたいですね。結構うちの選手は引っ込み思案なんですよ(笑)」(横井さん)。
熱烈なレイソルファンのミュージシャン、パッパラー河合さんのブログもある。「パッパラー河合さんには、ファンからの視点がほしいということで、執筆をお願いしています」(横井さん)。

パッパラー河合さんの 『パッパラー河合の檄!レイソル日記』。サポーターの目線で綴られている
書き手が多くなれば、更新頻度や更新スタイルにも幅が出てくる。ネットワークとパソコンがあれば、どこからでも更新できるブログだが、レイソルブログではもう一工夫を加え、よりフレキシブルな対応ができるようにした。「選手の場合、遠征が多く、パソコンのない環境にいることも多いんですね。そこで、携帯からアップできるような仕組みを導入しました」(中野さん)。
Movable Typeにはじめから組み込まれている仕組みではないが、ASP型のサービスを利用して、携帯でメールを送ることで更新できる仕組みを実現している。これなら、遠征先であっても問題ない。
公開にあたっては、特に担当者が内容のチェックを行うことはなく、書き手の責任にゆだねられている。「チームの機密情報をもらしてはいけないなど、常識的な範囲のガイドラインについては伝えてありますが、基本的には内容にNGを出すことはないですね。逆に、書き手側から 『この内容は書いていいのか』 と、私に確認の電話をかけてくることもあります」(横井さん)。
チームの代表者としてのブログであることという意識が、書き手側にしっかり根付いているのだろう。今までに、大きな問題になったことはないそうだ。
■発信側と読者側双方にメリットが
「ブログを書いている3選手から、『ファンの方がブログ見ましたと言ってくれる』 という話を聞きました。これは3人の共通した意見ですが、ブログを始めてからファンとのコミュニケーションは密になったと言っています」(横井さん)。
スポーツニュースなどのメディアでは、試合の結果以外の部分はなかなか伝わりづらい。もちろん試合結果は大切だ。しかし、たとえ結果が同じだったとしても、選手がどんな姿勢でその試合に臨んでいたかによって、ファンの気持ちは大きく変わるものである。その伝えづらい部分を、ブログで補うことができるというわけだ。
選手にとっても、自らをアピールする場として、ブログの存在意義は大きい。「加藤選手は今年サブのポジションにいることが多かったんですね。試合に出ないと、メディアに取り上げられることも必然的に少なく、知名度も上がりません。でも、彼が自分のブログを持つことで、ファンの認知度が上がったのは確かだと思います。ファンのブログや掲示板などを見ても、それは実感できますね」(横井さん)。
ファン代表のパッパラー河合さんにとっても、ブログは好意的に受け入れられている。今までは、土曜の試合について深夜執筆して横井さんに送り、さらに中野さんにわたってからの更新だったため、執筆から公開まで2日程度のタイムラグが発生していた。それが、リアルタイムで公開できるようになり、非常に喜んでもらえたそうだ。ファンとしては、試合の熱が冷めないうちに、共にその気持ちを分かち合いと思うのは自然な感情だ。
「ブログになってから、ライブ感が高くなりましたね。時間が短縮されただけでなく、より気持ちも伝わる内容になったと思います」(中野さん)。
スタッフにとっても「普段あまり表に出ない、自分たちの仕事内容を知ってもらえてよかった」と、好評だそうだ。
■スポーツチームも積極的な情報発信が必要な時代
横井さんは、柏レイソルのブログが始まったときに、書き手に期待していたことがあるという。それは、書くことによる意識改革だ。「自らが発信元となるというのは、かなり自覚を要するんです。何か書こうとすれば、何を書けば喜ばれるのか、何を書いてはいけないのかについて深く考えざるを得ませんし、自分の立場にも自覚的になります。広報は、普段からそういったことを考えていますが、ほかの部署の人たちにもクラブの一員として、『ファンに何を伝えていかなければいけないのか』 を考えてもらう契機にしたいと思ったんですね。選手に対しても同様です。よく選手が 『サッカーだけに集中したい』 と言いますが、これは違うと思うんですよ。もちろんサッカーのプレーが一番の表現方法だとは思いますが、プロサッカー選手は、ファンに愛され、プロとしての自覚を持って始めて本当のプロだと言えると思うんです。取材対応やイベント出演を含め、フィールド外でも自らをファンにアピールする努力が必要です。その点、ブログから自発的に情報発信をすることで、選手にとっての意識付けができるようになれば、それはすごく有益なことだと思います」(横井さん)。
これまで、広報の仕事は、新聞やテレビなどのメディアに対しての情報提供が多くを占めていたが、ネット時代になって自ら情報を発信することが可能になり、情報のイニシアチブを自分たちで取れるように変化してきた。また、積極的に情報提供しないと、顧客満足度も上がっていかないという。広報のありかたそのものが変質してきているのだ。
「ブログなどで自分が発言した内容がファンに与える影響についても、強く意識しています。マイナスの事実があると、新聞などではその結果しか伝えられないことが多い。しかし、その裏には本当にさまざまな事情があって、その結果に繋がらざるを得ないこともあるんです。そこを我々が伝えることで、ファンに納得してもらえるし、また前を向いてもらうこともできるんです」(横井さん)。
いまや、闇雲にファンに「応援してください」と連呼しても、ついてきてはもらえない時代。横井さんは、「これからは、そのクラブが何を考えて運営しているのか、まずしっかりと伝えたうえで 『応援してください』 と言わなければならないと思います」という。それは、ほかのスポーツのチームでも同様だろう。情報化社会の中でスポーツチームが生き抜くために、どう情報を伝えていくべきか。柏レイソルの挑戦は日々続いている。

今回お話を伺った広報の横井さん(左)、文化工房の中野さん(右)
事例データ
・ Movable Type 通常ライセンス(ライセンスパック)
・ サイトを公開したのは:2006年9月
・ はじめた理由:クラブの情報をファンに伝えるため
・ 制作を担当したのは:株式会社 文化工房
・ 何か手ごたえはありましたか?:ファン、サポーターからご好評の声をいただいた。クラブを代表して情報を発信するという書き手の自覚が高まった
- 投稿者 Blog on Business 編集部
- 07:02
- カテゴリー Movable Type
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