Blog on Business
2006年12月19日
パソナテックが 『あすなろBLOG』 でMovable Type Enterpriseを使う理由
「あすなろBLOG」は、ITに専門特化した人材サービス会社「パソナテック」が運営しているブログだ。IT業界に関連のあるブロガーが日々つづる記事は、業界情報から日常の出来事まで幅広く、多くの読者を獲得している。一見、本業の人材サービス業との関係は薄そうに見えるが、認知度が上がるにつれて、徐々によい影響が出つつあるという。

『あすなろBLOG』 のトップページ。『あすなろBLOG』『あすなろNEXT BLOG』『あすなろカウンセラーBLOG』 などのポータルになっている
■エンジニアの共感を呼ぶブログを作りたい
「あすなろBLOG」は、エンジニアやIT会社のマーケティング担当など、IT関連の執筆者によるブログを集めたサイトだ。運営しているのは、ITに専門特化した人材サービスを行っている「パソナテック」。しかし、「あすなろBLOG」には、転職や人材バンクへの登録を薦めるような、直接パソナテックに結びつけるようなコンテンツはあまり見あたらない。
「ブログを開設するときに決めたコンセプトは、とにかくエンジニアに共感してもらえるようなサイトにしたいということでした」(パソナテック あすなろBLOG担当プロデューサー 堀川貴満さん)。
「あすなろBLOG」の企画が立ち上がったのは、2005年の春のことだが、明確に決めていたのはこの1点のみ。制作会社はコンペによって決めたが、そのときに伝えたのもこのコンセプトだけだった。
「各社いろいろな案がありましたが、最もエンジニアに響くような内容だったのがスカイアークシステムさんでした。他社のアピールポイントが見た目のプロモーション寄りだったのに比べ、スカイアークシステムからは、WC3に準拠した美しいコードが書けるなど、技術的な面が多かったんですね。技術者に向けて作るサイトなら、技術に自信を持っている会社にお願いしたほうがいいんじゃないかと思ったんです」(パソナテック ソリューション営業部 後藤祐貴さん)。
そのスカイアークが当初から推していたのがMovable Typeによるブログ構築だ。他社はオリジナルのブログを組み込もうとしていたが、スカイアークシステムはMovable Typeを選択していた。
「スカイアークさんが、『Movable Typeは広く普及しているので安心です。もし弊社がなくなったとしても他社さんでどうにかできますよ』 と仰って(笑)」(堀川さん)。
「あすなろBLOG」という名前は、「明日、なろう!」からきている。「この名前に決まるまで、コンセプトメイクも含めて2ヶ月くらいかかりました」(後藤さん)。最初はもっとストレートなネーミングや、社名入りの案もあったそうだが、最終的にはエンジニアのイメージとは離れた「あすなろ」という言葉が採用された。
「最初は、もっと企業を全面的にアピールしたほうがいいんじゃないかという意見が強かった。でも、ブログとして受け入れてもらうためには、企業色を出さないほうがいいというアドバイスを受けたんです」(堀川さん)。
まずはブログサイトとしての認知度を上げることが最優先で、そのためには企業色は前面に出さないほうがいい。ブログは口コミで広がることが多く、宣伝色の強いものは敬遠される傾向にあるからだ。オープンにいたるまでの苦労話は、あすなろBLOG内の「あすなろBLOGのブログ」でも読むことができる。
■規模の拡大を見越してMovable Type Enterpriseに
「あすなろBLOG」のオープンは2006年3月。当初の執筆者は6人程度で、ひっそりとしたスタートだった。
「最初、レセプション的なパーティは開きましたが、その後何も宣伝はしていないんです。当初2~3ヶ月は、自己満足の世界という感じでしたね(笑)」(後藤さん)。
しかし、徐々に執筆者が増えるに従って、ページビューも増えてくる。営業先で「あすなろBLOG」という名前が登場したり、パソナテックにに登録するために訪れたエンジニアとの話題に上ることも珍しくなくなってきた。2006年11月にはリニューアルし、新たな企画も加わった。
「現在は、第二期にあたります。オープン時には、まずはブログを集めた"箱"を作ることから始め、今回のリニューアルで若干ポータルを意識して、人気エントリーランキングや注目のワードがわかるタグなどを載せることにしました」(堀川さん)。

ページの右にはエントリーの人気ランキング、タグクラウドが表示されている
リニューアルに合わせ、Movable Typeから、Movable Type Enterpriseにシステムを変更した。Movable Type Enterpriseは、より大規模なブログサイトの構築に向いている。ブログ数も執筆者も増えてきた「あすなろBLOG」の今後を考えると、ここでMovable Type Enterpriseをしておいた導入したほうがいいとの判断だ。
「ポータル的なサイトにするためには、Movable Type単体では実現できない機能もあるんですね。プラグインを使えば大半のことは実現できるので、かなりたくさん入れていましたが、Movable Type Enterpriseにすることで半分程度に減らすことができました」(スカイアークシステム 森山敬さん)。
例えば、テンプレートの一元化もその1つだ。ブログ数が増えると、修正作業も煩雑になる。Movable Typeでは、別々のブログで1つのテンプレートを使うためにはプラグインを利用しなければならないが、Movable Type Enterpriseにはその機能が備わっている。
「プラグインを使うと、バージョンアップが難しくなるんです。脆弱性が見つかったときなどにいち早く対応をするためにも、標準の機能をなるべく利用したいですね」(森山さん)。
ユーザーのグループ別管理も、Movable Type Enterpriseでは可能だ。現在、約50人のユーザーがいるが、今後は効率よくユーザー管理する為にグループ&ロールで管理していきたいという。「あすなろBLOG」がよりポータル的なサイトを目指すのなら、ユーザーのグループ別管理は必須になるだろう。
また、今回のリニューアルには全文検索エンジン「WiSE MT」が導入されている。WiSE MTを利用することで高速なブログ横断検索に加え、あいまい検索などが可能になった。また、サーバに負荷が高いタグ機能も、WiSE MTを用いることによって負荷の軽減などを図るなどの配慮もされている。
■ネットとリアルな世界をつなぐ試み
ブログの更新については、基本的に各執筆者任せられているが、いままでに不適切な内容がアップされたことはほとんどないという。あすなろBLOGに参加している執筆者には、パソナテックからの依頼だけではなく、自ら応募してきた人もいる。しかし、執筆者として参加してもらうかどうかの判断は、ネット越しではなく、直接会ってから行うそうだ。
「執筆をお願いする前に必ず一度お会いし、我々のやりたいことや意思を説明します。そもそも、こちらの 『お会いしたい』 との要望に応えてくれることは、ブログを執筆していただく上での重要なポイントで、そこで線引きが自然にできているのかもしれません」(堀川さん)。
ブログはネット上のサービスではあるが、執筆者の日常や人となりがそのまま映し出されるものでもある。決してバーチャルな世界ではなく、リアルな世界と密接に結びつけいているのだ。パソナテックでは、執筆者の仲間意識や帰属意識を高めるため、定期的にブロガー会を開いているそうだ。
読者とあすなろブログを結ぶ場も用意されている。それが「ブログセミナー」だ。「ブログをビジネスに活かす方法」がテーマのセミナーで、あすなろブログの執筆陣が講師として加わることもある。「最初は参加者が一桁台のこともあったんですが、ここ数回は40人ほどの申し込みがくるようになりました。申し込みは、あすなろブログ経由が過半数を占めています」(堀川さん)。
アクセス数や、セミナー参加数の増加など、目に見えて効果が上がってきたことで、社内の評価も上がってきたという。
「ちょっとずつではありますが、手応えを感じるようになってきましたね」(後藤さん)。
「あすなろBLOG」の次の目標は、「よりポータル的」なサイトとなること。ブログ数を増やし、IT系のニュースを載せるなどして、もっとコンテンツを充実させていきたいという。そこでも、やはり中心となるのはブロガーという"人"。ブロガーに適した人を選び、読者へと結びつける作業は、人材サービス会社の得意分野といってもいい。
「エンジニアが常に集まり、なんらかの"気づき"を得てもらえるようなブログポータルが目標です。その上で、運営している会社がパソナテックだったんだと知ってもらえて、結果的に事業に結びつけられれば嬉しいですね」(堀川さん)。

今回お話を伺った後藤さん、森山さん、堀川さん、藤田さん(左から)
事例データ
・ Movable Type Enterprise
・ サイトを公開したのは:2006年3月
・ はじめた理由:エンジニアに向けたブログポータルの提供
・ 制作を担当したのは:株式会社 スカイアークシステム
・ 何か手ごたえはありましたか?:アクセス数や主催セミナーへの参加数が増加した
- 投稿者 Blog on Business 編集部
- 21:21
- カテゴリー Movable Type Advanced
