Blog on Business
2008年04月06日
吉本興業グループ 「ラフブロ」がTypePad ASPを使う理由
芸人・タレントも使うブログサービス
吉本興業グループの株式会社よしもとファンダンゴが2008年2月1日より『ラフブロ』というブログサービスをスタートした。よしもと芸人のイラストをあしらったオリジナルのテンプレートやブログパーツが提供され、オリジナリティあるブログサービスとなっている。それだけではなく、スタート時点で500名を超える芸人・タレントが参加するブログポータルサイトであるのも特徴だ。このラフブロはTypePad ASPで構築、運営されている。

(ラフブロのトップページ。芸人ブログ新着リストやランキングなどが表示されている)
ブログサービスの企画を担当した制作営業センター マーケティングセクション チーフプロデューサーの北島誠司さんと、ブログの移行および運営を担当している制作営業センター コンテンツ制作セクション プロデューサーの井上篤さんにTypePad ASPの選定理由や運用状況などについて伺った。
■500もの人気ブログをコンテンツごと移動
ブログサービスというと会員数ゼロからスタートし徐々に会員登録を増やしていくことが多いが、ラフブロの場合は違っていた。サービス開始時から人気ブロガーが500名以上も参加する大所帯となっていた。というのも、別のブログポータルからブログをごっそり移動したからだ。
前身は「casTY」、東京電力株式会社の光ファイバー接続サービス(FTTH)「TEPCOひかり」のコンテンツとして開設したポータルサイトで、吉本興業株式会社と東京電力株式会社の合弁会社が運営していた。お笑い芸人やタレントが登場する「ひかり荘」という生番組の動画配信もあり、リッチなコンテンツが豊富なサイトだった。2004年ごろからブログもスタートし、芸人やタレントが徐々にブログを開設していった。
有名人のブログとなれば注目度は高く、時には炎上を経験したこともあったが、ブログがもたらすものの大きさに北島さんは高い関心を持つようになった。
「ブログを運営するようになり、ブログの有用性に気づきました。芸人にとっては情報発信の有効手段であり、ファンやコミュニティユーザーにとっては貴重な交流の場であり、われわれ会社にとっては非常に有用なプロモーションツールになるということが分かりました」(北島さん)
しかし事業統合により、casTYの全サービスがいずれ終了することが決まった。すでにブログは芸人とファンとの貴重な接点になり、軽々しく捨てることができない貴重なものとなっていた。「せっかく築いてきたコミュニティをどうするか」と北島さんは悩んだ。
「コミュニティは資産です。なんとしても継続し、発展させていかなくてはと考えました。これまではcasTYの中のコンテンツとして運営していましたが、これからは吉本興業が自前で丸抱えでやろうと決意しました」と北島さんは言う。
■短納期が決め手となりTypePad ASPを選定
ブログを引き取ることを決めたのは2007年の秋。そこから既存ブログを移行し、運営する方法を模索した。
比較したのはブログデータを移行できるかどうかの互換性、費用、納期だ。特に納期は重要ポイントだった。casTYのサービス終了は2008年2月末と決まっていたため、2月から新サービスを開始できることが命題だった。
最終的に選定したのがTypePad ASP、1ヶ月程度でサービスを開始できるからだ。ただしサービスを開始するだけではなく、casTYで蓄積したブログデータの移行も不可欠だった。プロジェクトは11月から着手、2月1日にはサービス開始という超短期のスケジュールで進んだ。
移行はかなり手間のかかる大がかりな作業となった。実在するブログは芸人の写真を使うなど独自のテンプレートで装飾されており、サイドバーには凝ったオブジェクトも多数ありバラエティに富んでいた。こうしたブログのデザインは作者のこだわりやモチベーションともつながるので、そのまま移行できるようにしなくてはならない。さらに本文にある写真やリンク、コメントも移行した。
システムの移行作業を行い、現在も運営を担っている井上さんは「一括処理したくてもコンテンツが複雑かつ大量でなかなかできませんでした。人気のブログとなると1エントリにコメントが数百件もついていることもあるからです」と話す。

(キングコング・西野亮廣の「西野公論」のデザインテンプレート。できるだけ作者の意思を反映することで、芸人を支えている)
■1日のページビューは数百万を支えるTypePad ASP
現場の努力のかいもあり、2008年2月1日から「ラフブロ」がスタートした。有名ブロガーが大量に移り住み、また新規入居者も募集するブログサービスの誕生である。サービス開始からラフブロは大繁盛で、1ヶ月ほどで以前のサイトのページビューを上回るようになり、また一般からの新規登録ユーザー数は2000名を超えた。
ブロガーとなる芸人たちは、日常をありのままにブログに綴っている。ライブの準備、楽屋で仲間とはしゃぐ様子、本番を終えた感想、そして自分の信念など。ファンにとってはどれも肉声に近い貴重な言葉の数々となり、アクセス数は必然的にふくれあがる。
1日のページビューはサイト全体で数百万、人気ブログとなるとそれだけで数万から数十万規模にもなる。
その代表格が「ブログオブザイヤー2007」にて男性タレント・俳優部門で受賞したお笑いコンビ品川庄司・品川祐の(「品川blog」)だ。現在ラフブロでもランキング上位の常連である。
これだけのアクセス数があるとサーバーには相当な負荷がかかる。通常のTypePad ASP利用者の中でも桁違いなアクセス数ゆえ、TypePad ASP側でもサーバー側でリソースを増強して対応するほどだった。
またラフブロではアクセス数が多いだけではなく、携帯からのアクセスが際だって多いことも特徴だ。携帯からのアクセスはサイトアクセスの約7割を占めるほどである。

(「ブログオブザイヤー2007」にて男性タレント・俳優部門で受賞した品川庄司・品川祐の「品川blog」)
■携帯の絵文字にも対応、一般参加の期待も膨らむ
これだけ携帯からのアクセスが多いと、携帯からブログを開いた時の見栄えや機能強化も欠かせない。
例えば、絵文字対応。ファンが携帯からコメントを記入するため、携帯の絵文字で記入できること、それをパソコンからも表示できるようにする必要がある。その点、TypePadなら問題ない。標準で携帯電話からのブログ閲覧やコメント欄における絵文字が利用可能であり、NTTドコモ、au、ソフトバンク、iPhone、iPod touchにも対応している。
実際にコメント欄を見てみると、「今日のライブ楽しみです!」、「面白かった!」など、ひっきりなしに応援メッセージが書き込まれている。ハートや顔文字など絵文字がふんだんに使われ、ファンの熱意もひしひしと伝わってくる。
芸人にとってもファンからの生の声は励みになることだろう。ただしそれも人それぞれ。
「ブログに対する考え方や本業との兼ね合いの仕方は芸人ごとにまったく違います。芸人の好きなようにやらせています」(北島さん)。
こうしたブログを介したコミュニケーションを北島さんは「昔ならラジオにハガキで投稿するのと似ています」とたとえる。ファンの気持ちを受け止め、また交流や発言の場にもなる。「かつてラジオでも、まれに皆をあっと言わせる一般投稿がありました。いつの日かラフブロのランキングに芸人以外の人のブログが躍り出ることもありえます」と北島さんは言う。もし本当に芸人をしのぐブロガーが登場したら面白いことになりそうだ。
■ノイズを発信し続けることに可能性がある
まだサービスを開始して1ヶ月ほど。ラフブロのトップページには花形となる芸人ブログの新着リストやデイリーランキングがある。またラフブロからのトピック(スタッフからのお知らせなど)や、ブログお楽しみパーツも並ぶ。
ラフブロではよしもと芸人の似顔絵やタカアンドトシのライオンがあしらわれたブログテンプレート、独自のブログパーツも提供しており、今後はさらに種類を増やしていくという。

(タカアンドトシのライオンのデザイン。オリジナルテンプレートがだれでも使えるのは嬉しい)
北島さんは吉本興業がブログをやる意義をこう話す。「芸人には『いろんな場でノイズを発信していきなさい』と話しています。場にはライブやメディアなどいろいろとあります。吉本興業は現在でこそ芸能プロダクションですが、元々は興行会社でした。寄席などの場を作り、お客さんと一緒に盛り上がるのが"興行"です。利益追求だけでやってはだめ。発信し続けることで新たな可能性が期待できます。これはほかのブログサービスにはないモチベーションとしたいと考えています」
今後エンターテイメントの新たなコミュニティがラフブロで展開されるかもしれない。北島さんは「今後1年でページビューも会員数も5倍に増やしたい」と意欲満々だ。
- 投稿者 Blog on Business 編集部
- 14:40
- カテゴリー TypePad
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