Blog on Business
2008年12月02日
YAMAHAがTypePad ビジネスを使う理由
ブログは各コンテンツへ誘導する交差点
「東京バンドサミット」は楽器メーカーのヤマハが運営するアマチュアバンドを対象とするコンテストだ。2008年で5回目になるこのコンテストには、全国から700バンド以上の応募があるという。2008年にリニューアルされたコンテストのサイトはシックス・アパートのブログASPサービス「TypePad ビジネス」を利用して運営されている。審査経過など頻繁な更新が必要となるコンテストのサイトにTypePad ビジネスを採用した理由などについて、ヤマハ株式会社 国内営業本部 LM営業部 アマチュアステージ企画室の目黒直弥さんにお話を伺った。

「東京バンドサミット2008」のトップページ。2008年度の記録を振り返ることができる
■東京バンドサミットとは
アマチュアバンドを対象とするコンテスト「東京バンドサミット」は2004年に開始された。通常、この手のコンテストの目的は、CDデビューを前提としたアーティスト発掘なのだが、このコンテストは既にある程度活動を行っているバンドの支援が主眼となっている。そのため、優勝賞品も「CDデビュー」ではなく、リハーサルスタジオで100時間無料パス、および東アジアで開催されているバンドイベント「アジアンビート」へのゲスト出演権とたいへんユニークだ。
第5回となる2008年度のコンテストは6月に募集が開始され、全国から721バンドのエントリーが集まった。その中から40バンドが選考され、8月に東京原宿で3日間行われた審査を兼ねた非公開ライブイベントに出演、そこでさらに12バンドに絞られ、最終的には10月25日に東京池袋で行われた公開ライブイベントで演奏を行い、ギタリストの西川進さんやミュージシャンのROLLYさんからなる審査員の厳正な審査の結果、ギター&パーカッションのデュオ「カケラバンク」が栄えあるベストバンド賞のグランプリに輝いた。
■ブログの目的
東京バンドサミットのサイトは、応募要項やイベントの日程、共催スタジオのリスト、FAQなどの基本情報と、ライブレポートや審査経過などが高頻度に更新される通常のエントリーから構成されている。サイトはすべてTypePadで作成されており、デザインは社外デザイナーが担当、更新はすべて目黒さん一人で行っている。
「イベントというのはその場その場で変わっていくものです。その時にしか出せないタイムリーな情報を出して、鮮度を保っていくよう心がけました」。
TypePad導入以前も同様のサイトが運営されていたが、更新は制作会社に毎回依頼する必要がある上、社内規定でアップロードの時間帯が決められていたため、どうしても情報の鮮度が落ちてしまいストレスを感じていたという。このことがTypePad導入の決め手となったようだ。
「去年のコンテストが終わった時から更新作業をもっと簡単にやれる方法はないかと模索しており、社内でも使用が推奨されているTypePadの導入を決めました。入力インターフェイスもシンプルですし、誤字脱字なども気付いた時点ですぐに修正できるので、気軽にエントリーすることができます。その結果ひとつの更新に対してのハードルが下がり、書けることの幅が増したことがいちばんのメリットかもしれませんね」。
来年度以降も簡単なリニューアルを加えて、引き続きTypePad ビジネスを使い続けていく予定だ。携帯電話への対応も考えているという。

ブログエントリーの一例。コンテストの進捗状況をリアルタイムに確認することができた
■ブログがすべてではない
「東京バンドサミット2008」のサイトは、TypePadを使ったブログだけで完結しているわけではない。それ以外にも複数のサービスで関連コンテンツを配信している。例えば、コンテストへの参加申し込みと、エントリーバンドの楽曲試聴は同じくヤマハが運営する音楽SNS「マイサウンド」で、非公開ライブイベントで撮影されたバンドの映像は「YouTube」の専用チャンネルで公開されている。

YouTube内の「東京バンドサミットch」。参加バンドの映像を見ることができる
「ブログは大きな交差点というイメージです。まずはブログに人を集め、そこから各コンテンツにジャンプしてもらうという形にしています。すべてをブログに載せることはできないし、その必要もないと思います」。
ブログ自体は、練習スタジオに配布する紙のフライヤーやポスターなどでURLを告知しているという。ブログ化したことによって、以前よりサイトのアクセス数は増えたそうだ。とは言え、バンドのサポート活動をネットメインにするとは考えていないそうだ。
「年々ネットを活用するバンドは増えてきています。特にmixiとMySpaceはバンド活動に必須となっていますが、我々はそれらのサービスと競合しているとはまったく思っていませんし、ネットがメインとすら思っていません。バンドのメンバーとはこれからもリアルな世界で対面して話していきたいと思っています」。
また、今後自社サイトにブログを導入しようと考えている企業の担当者に向けて、以下のようなアドバイスをいただいた。
「漠然とブログをやりましょう、といった考え方では絶対に続かないと思います。最初にブログをどのように使っていくかというイメージをしっかり持って構築にあたることが必要です。ブログを更新することは目的ではありません。私たちは、ブログを企業からユーザーに対して最新かつ正確な情報を伝える1つのツールだと思っています」。
ブログはあくまでツールの1つとして今後も活用していくという考え方だ。

ヤマハが運営するSNS「MySound」内の「東京バンドサミット2008」コミュニティ。参加バンドの曲を試聴することができる
■ヤマハのブログへの取り組み
ヤマハでは「東京バンドサミット」以外にも、ネットワーク製品の技術者が更新するブログ「ヤマハの音とネットワーク製品を語る」や、楽譜のダウンロードサービス「ぷりんと楽譜」のスタッフが更新するブログ「ぷりログ」など多数のサイトでTypePadを導入している。手軽かつ安全にサイトを立ち上げるツールとして、全社的にTypePad ビジネスが推奨されているとのことだ。
「ぷりログ」や「タナカミドリのミュージック・ライフ・カフェ」も当初はMovable Typeで構築されていたが、TypePadに移行された。これは、TypePadというツールの特性を把握し、"やりたいこと"を実現・継続するための的確な見極めが行われた証左だろう。
CMSとしての利用を前提とした大規模なサイトの場合はカスタマイズ性に優れたMovable Type、あくまでツールとしてブログの機能を使いたい場合は、シンプルで手軽なTypePad。今後もヤマハではブログツールを使ったさまざまなサイトが展開されそうだ。

お話を伺った目黒さん
事例データ
・TypePad ビジネス
・サイトを公開したのは:2008年5月
・はじめた理由:エントリー更新頻度を上げるため
・制作を担当したのは:外部制作会社
・何か手ごたえはありましたか?:更新のハードルが下がりアクセスも増えた
(文:田口 和裕)
- 投稿者 Blog on Business 編集部
- 11:00
- カテゴリー TypePad
トラックバック
- トラックバック URL
