ビジネスブログの基礎知識

ビジネスブログの基礎知識

第12回:運営ポリシーを決める

ビジネスブログをご検討中のみなさん、こんにちは。シックス・アパートの中山です。ビジネスブログの始め方として、方向性やタイトル、担当者などについてお話ししてきました。そして今回は、おそらくビジネスブログを運営する際にもっとも頭を悩ませるであろう、「運営ポリシー」について考えてみようと思います。

一般的に、ビジネスブログの運営ポリシーは、

「コメントやトラックバック機能をどう管理するのか」
という機能の扱いと、
「記事をウェブに公開するために踏む承認プロセスはどうすべきか」
 という社内調整の2つに分けられます。

vol12_01.JPG

<「荒らし」と「炎上」が怖い?>
多くの企業が悩む点は、コメント機能をオープンにすべきか否かです。

「コメントは一方的に匿名で書けるので、誹謗中傷やスパムが送りつけられてしまう。」

企業の担当者の方が、そういった不安を感じ、リスクを避けようと考えてしまうのは当然でしょう。実際、ポータルサイト等が運営する無料ブログ・サービスでは、コメントが一方的に書けたりする場合があり、時として荒れるケースもあります。
そういった背景から、トラブルを未然に防ぐために、コメント機能を閉じてしまうビジネスブログが少なくありません。

でも、ビジネスブログにも対応しているブログ・ソフトウェアなら、コメントとトラックバックに「承認制」という機能が備わっています。
(もちろん、Movable Type、Movable Type Enterprise、TypePad ビジネスクラスにも標準搭載されています)

この機能を使えば、書き込まれたコメント・トラックバックは、管理者のチェックと承認を経てからでないとウェブ上に公開されませんので、もしご心配でしたら承認制から始められるのがよいでしょう。

コメントの中には、その匿名性から悪意を持った書き込みがあるのは事実ですが、ではトラックバックではどうでしょうか。
実は、トラックバックでは上記のような荒れることは稀です。なぜなら、トラックバックは自分のブログから発信されるため、責任を持った発言であることが多いのです。もちろん、好意的なトラックバックだけでなく、否定的・批判的なことを書かれることもありますが、たとえ否定的な意見でも、感情的なものでなく、良識による発言がほとんどです。

vol12_02.JPG


「それでも、やっぱり心配だなあ・・・」

そんな声が聞こえてくるような気がします(笑)。

もちろん、コメントだけでなく、トラックバックにも承認制の機能は備わっていますので、内容を確認してから公開することができます。読者とコミュニケーションを図ろうとするビジネスブログの場合、トラックバックをオープンにしているケースがメインで、誹謗中傷や罵詈雑言は極めて少数なので、安心してください。

コメントやトラックバック機能を閉じればトラブルは起きませんが、半面コミュニケーションの広がりも見込めず、何も失わない代わりに何も手に入れられないことにはなります。
最初から無条件に機能を閉じてしまうのではなく、まずは消費者が発言できる窓口を設けてはいかがでしょうか。「悪い書き込みをされるかも」と過剰に心配してしまうと、「好意的意見」「建設的コメント」を吸い上げる機会を失うことになります。

これまで寄せられることのなかった、消費者からのダイレクトな反応や、思いがけない意見を収集できる可能性がブログにはあるのですから、ぜひそのポテンシャルを活用していただきたいと思います。


<オープンにすることで得られる信頼>
F1トヨタチーム(パナソニック・トヨタ・レーシング)のタイトルスポンサーであるパナソニックのチーム情報ブログ、「f1.panasonic.com」は、コメントとトラックバックを完全に公開し、多くのF1ファンとのコミュニケーションを実現しています。

f1.panasonic.JPG
パナソニックのチーム情報ブログ、f1.panasonic.com

f1.panasonic.comは、単にコメント欄とトラックバックをオープンにするだけでなく、その機能を使ってさまざまなコミュニケーションをする工夫を行っています。そのひとつに、F1日本グランプリ観戦チケットのプレゼント企画がありました。

「ユーザーの方の“熱い思い”を応援メッセージとして送ってもらい、最も熱かった方6人を編集部で選考して鈴鹿の観戦チケットをプレゼントするという企画なんです。通常プレゼントの選考ってどういう基準で審査されているかっていうのはわからないまま、結果だけ発表されるものじゃないですか。でもこれはメッセージをすべてオープンにして誰でも読める形で行ってます。そうすると、選ぶ方もそれなりの理由を用意しなくてはならないですよね」

と、製作担当者の方が語るとおり、この企画は、コメントとトラックバック機能を単なる消費者に向けた窓口にして声を集めるだけでなく、これ自体に読み物としての価値を持たせた、ファンと共に作り上げていくユニークかつCGM(消費者が作るメディア)的な試みです。これは、まず企業側がオープンな姿勢を見せることで、消費者に自ら進んで「参加したい」と思わせるという、童話の「北風と太陽」でいう太陽的なアプローチと言えるでしょう。オープンにすることで、消費者の信頼を得た、典型的な例と呼べます。


<情報の整合性に囚われない>
ブログに限らず、どのような手法・媒体で情報を発信するにせよ、企業のメッセージとして情報の整合性に一貫性を持たせることは、運営上当然守らねばならないのは言うまでもありません。

しかし、ではブログには「間違いのない完璧な情報しか公開できない」のかというと、そんなことはなく、ブログならではの独特な使い方もあるのです。
たとえばブログのひとつの使い方として、「途中経過を公開する」という手法があります。
雑誌や書籍等、印刷媒体の場合、掲載する情報は最終決定されたものに限られ、印刷後には訂正や追加ができません。つまり、情報が「点」でしか提供できないのです。ところが、ブログを使うと、ひんぱんに(それこそ毎日)更新が可能になり、情報を「点」でなく「線」で表現することが可能になります。

あなたが、「レストランをオープンします」という広告を雑誌に出すとしましょう。
印刷媒体の場合、出版スケジュールに合わせて様々な情報(開店日や電話番号・メールアドレス等の連絡先、建物や内装・メニューの画像、キャンペーン情報)を確定しておかねばならず、しかもそれを出版後に訂正・差し替えができません。

ところが、ブログのメリットを活かせば、「開店するまでの様子を、日々ドキュメンタリータッチで公開する」という使い方ができます。日々更新、公開することで、「点」で構成された情報が連なり、次第に「線」を構成するのです。
「こんなメニューを用意する予定です」とか、「こんなイベントを計画中」、「期間限定で特典を用意します」といった情報を発信し、お客様からフィードバックを得るのもよいかもしれません。このような使い方なら、情報の整合性に囚われる必要もなくなり、柔軟なブログ運営ができますね。

もうひとつ例をご紹介しましょう。
シックス・アパートは、現在「Vox」と呼ばれる個人向け次世代ブログ・サービスを開発中なのですが、利用者の皆様とのコミュニケーションを目的とした「チーム Vox」というブログを開設しています。そこでは開発状況の進捗のお知らせ、新バージョンリリース情報や新機能の紹介、さらには「Vox」を使ってのコンテスト等を実施し、皆様と情報をやりとりしています。そして、そこで得たご意見やご要望を参考に、サービスの開発を進めています。

開発にまとまった期間を要する製品や、お客様からのフィードバックを受けつつ開発を進めるサービス等の場合、ビジネスブログは非常に使えるツールになります。

とはいえ、企業が発信する情報である以上、いい加減なことは書けませんので、ある程度の承認プロセスはあったほうがよいでしょう。ブログの下書き機能を利用してネットに未公開の状態で記事を執筆し、そこでオーソライズしてから公開という流れにすれば、無駄のない運営ができると思います。

vol12_03.JPG


<ウェブサイト運営の新しいスタイル>
これまでのウェブサイトは、「社内の情報がある程度蓄積したら、まとめて公開する」という“定期(or不定期)更新”が主流でした。それが、ブログが登場したことにより、「新しい情報が発生し次第、次々と情報を公開していく」という“常時更新”に変化しています。
これは、単に情報が発信されるスピードが上がったということだけでなく、企業が消費者・社外に対し、どれだけオープンで積極的に情報を開示していくか、能動的にコミュニケーションを仕掛けていくかという、企業ポリシーに大きな影響を与えています。

そういった意味で、ブログはウェブサイトの新しい運営スタイルを作り出したと同時に、今後の「企業と消費者間の関係」をも変えていく可能性を秘めているのです。

次回は、「陥りやすい失敗やミスと、トラブルを避けるコツ」です。
ご期待ください。

  • 投稿者 nakayama

シックス・アパート製品紹介

mt-banner-af.jpgmte-banner-af.jpg

トラックバック

トラックバック URL

このページのトップへ