ビジネスブログの基礎知識
ビジネスブログの基礎知識
第13回:陥りやすい失敗やミスと、トラブルを避けるコツ
ビジネスブログをご検討中のみなさん、こんにちは。シックス・アパートの中山です。
前回は、ビジネスブログの「運営ポリシー」について、コメントやトラックバックの機能の扱い方と、記事公開の承認プロセスという社内調整の面についてお話しました。
万全な運営ポリシーを整備したつもりでも、起きてしまうかもしれないトラブルには、いったいどんなものがあるのでしょうか。ビジネスブログ未体験の企業にとって、とても気になる部分だと思いますが、あらかじめお伝えしておきましょう、
「恐れることはなにもありません」と。
ふつうのウェブサイトだとそうでもないのに、ブログだと多くの企業が「炎上」や「荒らし」を恐れてしまうのはなぜでしょう。それは、ブログの持つ「通常のウェブサイトよりはるかに高い情報の伝播力」が理由です。一般的にブログは更新頻度が高く、発信される情報量が多いゆえに、インターネット上に露出する機会が増えます。その情報の伝播力の高さは、ブログの優れた特長のひとつです。
ブログは情報が発信しやすく、読者とコミュニケーションがとりやすいだけでなく、そのやりとりが第三者にも伝わるので、瞬く間にインターネット上に情報が駆け巡るチカラを持っています。時として、ニュースサイトやTV番組よりも情報が早く公開されることもあり、既存マスメディアに匹敵するスピードを発揮することもあります。
このような、ブログの持つ絶大な影響力が認知されているからこそ、「いったんトラブルが起きると、収拾がつかなくなる」と考えてしまうのでしょう。ブログで起きるトラブルには、主に以下の3つに当てはまるでしょう。
1.読者の期待を裏切ってしまうトラブル
2.ブログの使い方に関するトラブル
3.情報漏えいによるトラブル
<1.期待を裏切ってしまうトラブル>
ブログでは、コミュニケーションのやり取りが、大きく以下の3つに分けられます。
1.発信者 → 受信者(読者)
2.受信者(読者) → 発信者
3.受信者(読者)同士
ビジネスブログの場合、まず前提として伝えたい情報がある企業から読者という流れの1が基本となるでしょう。コメントやトラックバックを公開すると、読者から企業に向けた情報やフィードバック(つまり2のパターン)の逆方向のコミュニケーションも可能になります。
読者から寄せられるそれらの内容は、問い合わせ・意見・不満・要望・賞賛等から、中には批判まで混ざってくるかもしれません。覚えておいていただきたいのは、企業に対してフィードバックをした読者は、自分の発言に対して何らかのリアクションを期待しているということです。
読者は、「コメントやトラックバック機能がオープンになっている = 自分の声を聞く姿勢を持ってくれている」と認識するものです。コミュニケーションが行いやすいブログであればこそ、自分のアクションに対してリアクションが返ってこないと、逆に送った側は失望してしまいます。
ただ、人気ビジネスブログともなれば、1つの記事に対して100件以上のコメントやトラックバックがつくこともあり、すべてに回答をすることは物理的に不可能になります。
そのような場合でも、「フィードバックをしてくれる読者に感謝する気持ちと、そのすべてに目を通し、今後の企業活動に反映していく姿勢を見せること」は必要です。あるいは読者のリアクションに対して、記事で回答するのもひとつの方法でしょう。
コミュニケーションが一方通行にならないように、読者からのフィードバックに対しても誠実に対応していく姿勢を心がければ、とくに問題にはならないでしょう。
<2.ブログの使い方に関するトラブル>
ブログは、情報を不特定多数に広く知らしめ、1つの情報にコメント・トラックバックで連鎖的に付随する情報が連なりながらコミュニケーションを深めていくという特性があります。
インターネットには、メールやメーリングリスト、掲示板、問い合わせフォーム、インスタントメッセンジャー等、多種多様な方法がありますが、ビジネスブログ上で企業と顧客が双方向でコミュニケーションできるということは、これまでになかった新しいスタイルと呼べるでしょう。そういった意味では、ブログはインターネット上のコミュニケーションに劇的な変化をもたらした画期的ツールです。
しかし、ブログがあらゆるコミュニケーションに適しているわけではありません。
端的に言うと、ブログは「1対不特定多数」のコミュニケーションに適していますが、「1対1」のやり取りや、プライバシーを保った上でのコミュニケーションには向いていません。
ブログの持つそのオープンさゆえに、人の目に触れてしまうため、閉じたコミュニケーションがとりにくいのです。
たとえば、コメント欄に書かれた読者の問い合わせに対し、本人の個人情報に関わるような回答をせねばならなかったとしたら、不特定多数にその様子が見えてしまうブログで行うのは不適切です。そのようなプライバシーを守らねばならない場合や、もしくは内容が個人的なことに及ぶ場合、1対1でのやりとりに適したメールで行うべきでしょう。
ブログで交わされる情報は、それを読んだ第三者の読者にとっても有益である場合は問題ありませんが、書いている本人にしか意味がない情報の場合、コミュニケーションの場を他に移す方がベターです。それが原因で大きなトラブルになることは考えにくいですが、ブログ上でのやりとりは避けたほうが賢明でしょう。
<3.情報漏えいによるトラブル>
ブログに限ったことではありませんが、インターネットに情報を公開する以上、その内容には責任を持たねばなりません。
情報漏えいには、大きく分けて、1.個人情報と、2.企業機密情報の2つがあります。
平成17年4月に施行された個人情報保護法を持ち出すまでもなく、「個人情報」の漏洩は企業の信用問題に関わります。情報の保護と管理は、きっとすでにみなさんの会社も取り組まれていらっしゃると思います。
「企業機密情報」は、企業として発信すべきでない情報を誤って発信してしまうケースです。まだ公表していない未確定の情報や、リリース待ちの新製品情報等、社外秘である情報がそれに当たります。このような人為的なミスを避けるには、日頃から社内でのコミュニケーションと情報共有を密にし、書いた記事をそのまま公開するのでなく、承認者を通すとか、複数でのチェック体制を敷くことで対処できます。
<正直であれ、誠実であれ>
ブログを運営していれば、純粋な批判や厳しい意見が寄せられることはあって当然です。
不特定多数が読むメディアである以上、読者全員が同じように感じるとは限りませんし、すべての人にとって100%納得のいく完璧な記事ばかり書くのも不可能です。
人それぞれ受け取り方も異なり、十人十色の意見があるゆえに、様々なリアクションが発生するのは極めて自然なことです。
「否定的な書き込みが書かれるのではないか、炎上するのではないか」と必要以上に恐れず、逆に肯定的・否定的な意見をこれまで聞こえてこなかった貴重な情報源として、真摯に受け止めるようにしたいものです。時には、悪意あるコメントや誹謗中傷が寄せられることがあるかもしれません。しかし、根拠のない単なる中傷自体が炎上につながるのは稀なのです。むしろ、その後企業がとるリアクションに原因であるのです。
そのリアクションが不適切であったり、不誠実であるときに、読者は不快感を覚えるのです。忘れてならないのは、ブログで行われるやりとりは、当事者以外の読者にも見られているという事実です。オープンなコミュニケーションの場で、誠実な対応を見せれば、火に油を注ぐようなことにはならず、それどころか読者の共感を呼ぶことができるでしょう。
万が一、ブログが荒れたり、炎上したとき、最もやってはいけないのは「ブログの閉鎖」です。閉鎖してしまうことはカンタンですが、その痕跡がネットから消えてなくなることはありません。Googleのキャッシュに残っている可能性もありますし、閉鎖前に画面のキャプチャを誰かが撮っているかもしれません。また、自社のブログ以外の掲示板等で話題にされてしまう可能性もあります。つまりブログを閉鎖しても、問題の解決にならないどころか、「逃げた」と思われてしまうのがオチなのです。
ブログのトラブルを、人間関係に置き換えて考えてみれば当たり前のことではないでしょうか。たとえば友人と口論したあと、その友人と一切言葉を交わさなければ、仲直りができないばかりか、関係が悪化してしまうでしょう。あるいは距離を置いて接触を避ければ、不快な思いはしなくて済むでしょうが、何も改善しませんし、最悪の場合、自分の悪口をどこかで言われてしまうかもしれません。いずれにせよ、アクションを起こさない限り事態は好転してくれません。(あえて例は挙げませんが)それと似たケースが、過去にインターネット上で起きているのは、みなさんよくご存知かと思います。
ですから、「最悪の事態になったら、閉鎖すればいいや」と安易に考えないことです。
たとえ痛みを伴うことになっても、読者に誠意を見せ、真摯な姿勢をとることが、解決への最短距離なのです。
ブログのもつ伝播力・影響力は、かしこく使えば強力なコミュニケーションツールになります。多くの読者が、あなたの会社のとる対応や発言を見ています。そこで適切な対応を見せてゆくことで、信用力や企業イメージを向上させることもできるのです。マイナスのリアクションを恐れるのではなく、「読者と積極的に交流しよう」、「いろんな声を聞いてみよう」というプラス思考でビジネスブログを始めるほうが、きっとよい結果を生むことでしょう。
次回は、「成功するビジネスブログの法則(前編)」です。
- 投稿者 nakayama
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