IKEA「IKEA ポートアイランドができるまでブログ」がTypePadを使う理由
オープンまでのライブ感の共有とコンセプトの認知にブログを選択
スウェーデンのホームファニッシングカンパニー IKEAは、優れたデザインと機能性を兼ね備えた手頃な価格の家具と生活雑貨を中心に、生活スタイル全般を提案する「ホームファニッシング」を謳って日本に上陸した。2008年春には、関西の初店舗となるIKEAポートアイランドを開店する。このポートアイランド店が“できるまで"の様子を追う異色のブログが「IKEAポートアイランドができるまでブログ」だ。
「IKEAポートアイランドができるまでブログ」のトップページ。“お店ができあがるまで"をリアルに伝えている
※ 2010年8月 追記
2010年7月、デザインの大幅リニューアルをおこない、引き続きイケアのオフィシャルブログ「IKEA Blog」として運用中
タイトルには関西弁も!開店までの「わくわく感」を共有
「IKEAポートアイランドができるまでブログ」は、2007年10月にスタート。開店まで約半年のあいだ、開店準備にあたる一マネージャーの立場から、建設中の店舗レポートやスウェーデンの生活紹介、IKEAのコンセプト紹介などを綴っている。記事タイトルに関西弁を取り入れるなど、雰囲気はカジュアルかつ親しみやすい。
既存の店舗の「店長日記」といったブログであれば、商品を紹介したりイベント情報を告知して来店を促すといった効果があるかもしれない。しかし、開店前の店舗紹介では、読者が興味を持っても、開店まで待たなくてはならない。それでもあえて「できるまで」というブログを開始したのはなぜだろうか。
IKEAポートアイランド ローカルリーダーシップマネジャーの北野陽子さんによれば、
「イケアのカルチャーのひとつである『親しみやすさ』という点は、関西の文化に共通すると思い、ネット上でどこまでそれを訴求できるか追求したいと考えました」「ブログを使ってオープンまでの“わくわく感"をお客さまにお伝えし、そのわくわく感がネット上で広がっていって、お客さまと一緒にお店のオープンを迎えたら盛り上がるだろう」と考えたとのことだ。
IKEAは単なる安売り店ではない。「より快適な毎日を、より多くの人々に提供する」というビジョンのもと、IKEAは優れたデザインと機能性、品質を兼ね備えた商品を、手頃な価格で提供するためにさまざまな工夫をしている。例えば、家具は全てフラットパックになっており、ユーザーがピックアップして持ち帰り、組み立てるというイケアスタイルは、ユーザーとの共同で運搬・組み立て分のコストを削減している。
「そもそもその手頃な価格はなぜ実現できるのか?の背景を理解していただいた上で、商品のピックアップや組み立てに取り組んでいただくことが大切だと考えていますので、そのようなIKEAのスタイルをお客さまに事前に知っていただきたいのです」。
“IKEAのスタイル"の認知という点にもブログを活用し、「ホームファニッシング・ストア」というコンセプトの普及に努めているのだ。お客さんが新しい店を期待して待っている時の気持ちを受け止めるメディアがあれば、オープン時の喜びも強まり、ファンをしっかりつなぎ止める効果が考えられる。
「ストアがオープンしたらもう買う気満々でご来店いただきたいので(笑)」とのことだ。
SNSよりもブログ
もともとIKEAには、ホームファニッシングのインスピレーションを与え、商品の在庫の有無を確認できる公式サイトがある。しかし、「オフィシャル・ウェブサイトはグローバルで共通サイトであり翻訳のため、どうしても(お客様から)少し遠い感じになってしまう」と北野さんは感じていた。
また、コンセプトを受け入れたファン同士の交流が盛んで、ネット上のコミュニティが醸成されているため、その場となっているmixiでの公式コミュニティ開設も検討したのだという。
しかし、「既にユーザーコミュニティが盛り上がっているので、さらに出稿費を払って公式コミュニティを立ち上げることは必要ない」と判断し、北野さんが個人的にTypePadを使ったビジネスサイトやコミュニティサイトを運用した経験から、低コストで管理運営に手間のかからないブログを最終的に選択した。低コストと管理が楽という点は、人員とコストを抑え、商品の低価格を実現しているIKEAの企業姿勢に合致している。
ブログの熱がリアルのイベントにも
これまでのところ「IKEAポートアイランドができるまでブログ」は、ユーザーの活発な反応、コメント欄への書き込みを得て盛況となっている。また、ブログの盛況は「IKEAFAMILYプレセミナー」というリアルイベントに結びついた。メールとブログによる告知を行ったリアルイベント「IKEA FAMILY プレオープン『イケアを知ろう』セミナー」は、関西在住のファンを関東の店舗に招待してブログなどでレポートしてもらうというイベントで、毎回盛況とのこと。IKEAでお買い物したい!という気運は、関西でも着々と高まっていることがうかがえる。
“イケアを知ろう"をいうテーマで開催されたセミナーの模様もアップされている
北野さんの社外経験を活用し取り組んだブログは、社内にも刺激を与えたという。コメント欄はスタッフ一同みな励みとして読んでおり、国内他店舗や、本国スウェーデンのスタッフも「やってみたい」と興味を持っているのだという。
「コミュニティの良い雰囲気やファンを醸成し、企業のコンセプトを理解してもらう」という難しい課題のツールとしてブログを活用したIKEAポートアイランドブログ。オープン後は、テーマ別に執筆者を変えるなど、新しい切り口も用意して、読者を飽きさせない工夫をし、発展させていきたいとのことだ。
事例データ
- TypePad
- サイトを公開した日時: 2007年10月1日
- はじめた理由: IKEA ポートアイランド店オープンまで、イケアのカルチャーのひとつである「親しみやすさ」をオープン前から出したかった
- 制作を担当したのは: 株式会社アドバンスドメディアオペレーションズ
- 何か手ごたえはありましたか?: 親しみやすさの実現という目標に合致している。関西の皆さんが、思った以上に応援してくれているのをコメント欄などで実感。スタッフの励みにもなっている
(文:秋山 文野)






