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広島県庁「ひろしま空き家バンク みんと。」- Movable Typeソフトウェア版 導入事例

広島県庁様
記事やお知らせの更新作業時間は半分以下になり、属人化を防ぎ持続可能な空き家ポータル運用基盤を実現できました

瀬戸内海と中国山地といった多様な自然と都市機能をあわせ持つ広島県。近年、全国平均を上回る空き家数が課題となっており、とりわけ売買や賃貸の対象とならない「使用目的のない空き家」が増加傾向にある状況を受け、県は2017年、県内23市町の空き家情報を一元的に発信するポータルサイト「みんと。」を開設。県外からの移住希望者と市町の空き家バンクをつなぐ広域プラットフォームとして運用してきた。しかし、運用に伴い、セキュリティ面や更新性、物件登録の負荷といった課題が顕在化。委託先の変更を契機に、サイトの抜本的な再構築を決断し、CMSを Movable Type へ刷新するとともに、物件管理データベースの分離やAPI連携による新たなシステム構成を採用した。リニューアルの背景や成果について、広島県 土木建築局住宅課 住宅指導グループ 主任の多木智大さん、構築を担当したカンドウコーポレーション CTO(最高技術責任者)の髙味至星さん、CMO(最高マーケティング責任者)の下川和美さんに話を聞いた。

使用目的のない空き家の増加対策として、持続可能な情報発信基盤の必要性

近年、広島県では全国平均を上回る空き家数が課題となっている。とりわけ問題視されているのが、売却や賃貸の対象にならず、市場に流通していない「使用目的のない空き家」の増加だ。多木さんは、「令和5年度の住宅・土地統計調査では、広島県の空き家数は全国平均より高い結果でした。特に、売りにも貸しにも出されていない空き家が年々増えている点を重く見ています」と現状を説明した。

所有者が活用方法を見いだせず、解体すれば固定資産税が上がるという事情もあり、「放置することが一番楽になってしまっている現実があります」と多木さんは続ける。

こうした状況を受け、県は2017年3月、県内23市町の空き家情報を横断的に発信するポータルサイト「みんと。」を開設した。県が広域自治体として市町の空き家バンクを束ね、県外からの移住希望者とつなぐ役割を担うものである。

「県外の方が広島で空き家を探そうとしたとき、どこを見ればよいのかわからない、自治体名も知らないケースがあります。そこで、『広島 空き家』と検索すれば、まず『みんと。』にたどり着き、そこから各市町へつながる仕組みをつくりたいと考えました」(多木さん)。

現在、閲覧者の7割以上が県外からのアクセスで、東京・大阪・福岡といった都市部からの関心が高いという。一方で、運用の長期化に伴い、ウェブ基盤の課題も顕在化してきた。当初、構築されたウェブサイトは、サイト基盤としてオープンソースCMS(コンテンツ管理システム)が採用されていたが、独自カスタマイズが重なり、バージョンアップが困難な状態となっていた。「セキュリティ面で課題があることもわかっていましたが、簡単に手を入れられる状況ではありませんでした」と多木さんは振り返る。

更新面の負担も大きかった。お知らせの掲載や簡単な修正でもHTMLの直接記述が必要で、職員が自ら更新するのは容易ではない。物件情報も Excel で集約し、県が一件ずつ入力する体制だった。さらに、担当者は数年ごとに異動する行政特有の事情もある。「担当が変わるたびにやり方が変わってしまうのではなく、誰が担当しても一定の質を保てる仕組みが必要だと感じていました」(多木さん)。

令和5年度、長年委託していた事業者の撤退を契機に、県はウェブサイトの抜本的な見直しを決断。単なるデザイン刷新ではなく、セキュリティ、更新性、運用負荷、そして持続可能性を見据えたリニューアルに着手することとなった。

行政の立場を理解した提案が決め手となり、MT を用いた分離型アーキテクチャを採用

「みんと。」のリニューアルに向けて、広島県は公募型プロポーザルを実施。「セキュリティの確保はもちろんですが、広島県インフラマネジメント基盤の Dobox(ドボックス)とのAPI連携や、市町の事務負担軽減も含めて、次の段階を見据えた提案を求めました」と多木さんは振り返る。

そして、最終的に複数社が参加する中で選ばれたのがカンドウコーポレーションだった。決め手となったのは、単なる技術提案ではなく、行政の立場と空き家対策の構造を踏まえた設計思想だったという。「県は広域自治体として市町を支援する立場にあります。県が市町の取り組みを後押しする仕組みが必要でした。そこを最も理解していたのがカンドウさんでした」(多木さん)。

カンドウコーポレーションの髙味さんは、初期段階で感じた課題をこう語る。「前のCMSは多くのカスタマイズが施されていましたが、その影響でバージョンアップができない状態になっていました。動的生成だったこともあり、常に最新状態を保つ必要があったのですが、それが難しい状況でした」(髙味さん)。

さらに、ページ更新がHTML前提であったことも問題だった。髙味さんは「ノーコードで編集できず、ちょっとした修正でも外部の業者に依存する形になっており、これが更新を滞らせる構造になっていたと思います」と話す。

そこで提案されたのが、バックエンドとフロントエンドを明確に分離するアーキテクチャである。物件管理はスクラッチで構築した「みんと。データベース」を中核とした物件管理システムに集約し、ウェブ側はCMSとして Movable Type(以下、MT)を採用。両者をAPIで連携させる設計とした。

MT を選択した理由について、髙味さんは「第一にセキュリティです」と話す。「MT は静的生成が可能で、CMS本体と公開環境を分離できます。外部からの攻撃リスクを抑え、安定した運用が可能になります」ということだ。加えて、柔軟なテンプレート構造も評価したポイントだった。API連携を前提とする今回の構成において、データ取得や表示ロジックを柔軟に組み込める点が重要だったという。

リニューアル後、アクセス数は1.5倍に問い合わせ数も1.3倍に増加

リニューアルにおいて技術的な最大のテーマとなったのが、物件データ管理の刷新である。従来は、県が Excel で集約した物件情報を一件ずつCMSへ入力する運用だったが、これを抜本的に見直した。

「物件数を増やすには、県が抱え込む構造を変えなければならないと考えました」と髙味さんは語る。そこで構築されたのが、スクラッチ開発による「みんと。データベース」だ。物件情報はこのデータベースに集約し、MT とはAPIで連携。ウェブ側は物件番号をキーに必要な情報を取得し、表示する仕組みとした。

さらに大きな転換点となったのが、市町担当者が直接、みんと。データベースへ物件登録できる仕組みである。「これまでは県が入力していましたが、現在は市町がアカウントを持ち、直接登録できます。CSVでの一括アップロードにも対応しました」(髙味さん)。

この分業設計により、県の入力負担は大幅に軽減された。多木さんは、「最近はほとんど物件入力をしていません」と話す。市町が更新したタイミングで即座に情報が反映されるため、利用者にとっても常に新しい情報が届くようになった。

フロント側の更新性も大きく改善した。「以前は、文字にマーカーを引くのもHTMLの編集が必要でしたが、今は Word のような感覚で直感的に操作できます」(多木さん)

記事やお知らせの更新作業時間は半分以下に削減。軽微な修正やイベント告知であれば外部委託を介さずに対応できるようになった。属人化を防ぎ、担当者が変わっても運用を継続できる体制が整ったのである。

表示パフォーマンスの面でも改善が見られた。従来は共用レンタルサーバー上で運用していたが、リニューアル後は DoboX でも利用されている AWS へ移行。さらにGMOプライム・ストラテジー社が仮想マシンイメージとして提供するCMS実行環境「KUSANAGI」(※)を導入し、アクセスのピーク時も安定したパフォーマンスを得られるようにした。成果は数値にも表れ、リニューアル前は年間約100万PVだったアクセスは、現在では約150万PVへと増加。問い合わせ件数も約1.3倍に伸びた。

※ KUSANAGI は Movable Type に対応しており、環境構築から初期設定、インストールまでを簡単に行うことが可能です。Movable Type 9 にも対応(「KUSANAGI 9」が「Movable Type 9」に対応 - GMOプライム・ストラテジー)。

加えて、リピーター獲得の仕組みも新たに実装した。検索条件を保存し、新着物件が登録されるとメールで通知する機能や、ログイン不要のお気に入り登録機能である。

「検索機能が充実した結果、お客さまのお問い合わせに対して、価格帯や条件などに従い、一緒にウェブサイトを見ながら案内できるようになりました」(多木さん)。

11万戸の未流通空き家を動かすために──次のフェーズへ

広島県内には、売買や賃貸に出されていない「使用目的のない空き家」が約11万戸以上存在する。これは県が直面する最大の課題の一つだ。「市場に出ていない空き家を、どう流通に乗せるか。これが次の大きなテーマです」と多木さんは語る。

これまで「みんと。」は、移住希望者と市町の空き家バンクをつなぐポータルとして機能してきた。しかし今後は、空き家所有者側へのアプローチも強化していく方針だ。売却や賃貸という選択肢を具体的に提示し、登録への心理的ハードルを下げる。そのためのコンテンツ拡充を進めている。

象徴的なのが、移住者だけでなく、元所有者や仲介担当者を交えた三者インタビューである。カンドウコーポレーションの下川さんは、「蔵付きの古民家や広い敷地など、従来は“売れにくい”とされてきた物件も、視点を変えれば魅力となる可能性があります」と話す。「売ってよかった、貸してよかったという声は、所有者の背中を押す力になります。移住者の体験談だけでなく、所有者側の視点も伝えることが大切だと考えました」(下川さん)。

こうした価値の再発見を後押しするのも、「みんと。」の新たな役割だ。また、行政サイトとしての持続可能性も引き続き重要なテーマである。担当者は数年ごとに異動し、運用体制も変わり得る。

MT を中心とした分離型アーキテクチャは、その前提条件を支える基盤となった。フロントの更新性と、バックエンドの拡張性を切り分けた設計は、運用を属人化させず、一定の質を保てるとともに、今後の機能追加や連携強化にも柔軟に対応できる。

人口減少が続く中、広島県は空き家対策を単なる所有者に向けた意識啓発ではなく、地域の魅力を発信し、移住を促す取組としても位置づけている。「魅力的な空き家を通じて、広島に興味を持ち、移住していただきたい。その入り口として『みんと。』を育てていきたいと思います」(多木さん)。

空き家流通の促進と、持続可能な行政運営。その両立を目指す取り組みは、今後の広域自治体モデルの一つの指標となりそうだ。

hap

写真中央は広島県の多木智大さん、写真左がカンドウコーポレーションの髙味至星さん、右が同社 下川和美さん

事例データ

  • サイトURL:https://minto-hiroshima.jp/
  • 使用した製品:Movable Type ソフトウェア版
  • 制作を担当したのは:株式会社カンドウコーポレーション
  • 採用した目的:空き家ポータルのセキュリティ強化と更新性の向上を図るとともに、物件管理データベースと分離した構成により、市町と分担可能な持続的運用基盤を構築するため。
  • どのような手ごたえがありましたか?:記事やお知らせの更新作業時間は半分以下に削減され、属人化せずに運用できる体制が整った。PVは約1.5倍、問い合わせ数も約1.3倍に増加するなど成果につながっている。

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