導入事例

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岡崎市民会館 公式サイト - Movable Type ソフトウェア版 導入事例
一般社団法人 西東京市伝統文化育成会 公式サイト - MovableType.net 導入事例
画家 小高朋恵 公式サイト - MovableType.net 導入事例
株式会社フラワー不動産 ウェブサイト- Movable Type クラウド版導入事例
浅野肖像画工房 公式サイト - MovableType.net 導入事例
株式会社ヨシダ工業「Glanz(グランツ)」ウェブサイト- Movable Type 導入事例

星海社が Movable Type と PowerCMS を使う理由

株式会社星海社様
これからのソーシャルの時代にマーケティングするには、もっと作り手個人が前面に出ないといけない。MTを活用して、星海社の編集者は、紙の編集者というよりインターネットを含めたコンテンツの編集者という意識に変わってきていると思います。

星海社は講談社の100%子会社として2010年4月に設立された新しい会社だ。「未来の出版に向けた様々なトライ」を掲げ、「最前線」や「ジセダイ」といったWebサイトを相次いでオープン、紙メディアでは実現できなかったWeb独自の新しい読書体験を提供している。同社のコーポレートサイトと前述の両サイトはCMSプラットフォーム Movable Type をベースとしたソリューションパッケージ「PowerCMS」によって構築されている。株式会社星海社代表取締役の杉原幹之助さんと、サイト構築を担当した株式会社シナップ代表取締役の坂西裕彰さん、フロントエンジニアの柿内暢昌さんにお話をお伺いした。

星海社

作り手と読み手が"一緒に作り上げていく"サイトとして

最前線

星海社は2010年4月設立の新しい出版社だ。特に若い世代に向け、Webを通じた新しい出版エンタテインメントを創出することを社是としている。「最前線」や「ジセダイ」といったWebサイトは、会社設立から1年半足らずの間に相次いでリリースされた。まさにWebならではのスピード感をもったビジネス展開といえる。

「『最前線』のスタート時は、漫画や小説などがメインコンテンツでした。いわゆる文芸誌のWeb版というようなものです。出版物をDRMフリーでWebサイト上の専用ビューアーで全部読んでいただける機能と、あとは新人作家発掘のためのコンテンツを備えてオープンしました(杉原さん)」。その後、即時性や双方向性を活かしたコンテンツを展開していく。「毎日更新のコンテンツとしてスタッフが更新する『編集部ブログ』や、昨年実施した企画として特徴的なものには『満月朗読館』という企画があります。これは、古今東西の文芸作品などを毎月1回、満月の夜に声優の坂本真綾さんに朗読していただくもので、オリジナルのムービーとあわせてUstreamでライブ配信しました(杉原さん)」。

 「満月朗読館」は2010年9月〜12月の4回にわたって行われ、最終日は、TOHOシネマズ六本木を借り切って坂本さん生朗読によるライブを行い、それを名古屋、大阪、福岡等の映画館でも同時に視聴できるイベントを実施した。Ustreamも好評で、瞬間視聴者数で約1万5千ユーザー、延べで約8万ユーザーを集めたという。一方、「ジセダイ」のコンセプトについて杉原さんは以下のように語る。

「『ジセダイ』はノンフィクション好きな読者をターゲットに、紙(新書)とWebサイトの連動をコンセプトに掲げています。たとえば、新人作家発掘の場として、『ミリオンセラー新人賞』というコーナーではユーザーから新書の企画を募集しています。企画案には編集部からコメントが付され、SNSとも連携してユーザーの反応がわかるようになっています。また、本作りの過程をなるべくオープンにしており、『Ustream講義』というコンテンツでは著者とコミュニケーションをとれる場を作るなど、なるべく紙とは違う面から新書の世界観を共有できるようにしました(杉原さん)」。

 20代〜30代の文字通り「次世代」をターゲットに、作り手と読み手が一緒にサイトを作り上げていくという試みがなされているようだ。

短期間での開発や運用負荷の低減が「Power CMS」導入の決め手

星海社がサイト構築についてシナップに相談したのは2010年5月頃とのこと。このときはコーポレートサイトはもちろん、ドメインも取得していない白紙の状態だったという。それまでに数社の制作会社と打ち合わせをしたそうだが、その中で、自分たちがやりたいことを伝え、それを実現するためには何が必要か、自分たちにわかる言葉でビジョンを示してくれたのがシナップだったという。「Webサイトの使いどころとして、企画・開発・宣伝、サポートの4つの機能があると思います。従来の出版社はほとんど、商品宣伝程度にしかWebを使っていません。坂西さんとの打ち合わせを通じて、私は4つすべての機能を備えたWebサイトを作りたいと考えが整理されていきました(杉原さん)」。

このように、制作会社としてシナップが指名された決め手は、単なるサイト制作にとどまらず、サイト全体のコンセプトワークの部分から運用まで「ともにサービスを作る」という姿勢が評価された点にある。それでは、CMSにMTを採用したポイントはどのあたりにあるのだろうか。「ヒアリングを通じて、かなり大規模なサイトになることが予想できました。もともとMTを用いたサイト制作の実績はあったのですが、日次更新のコンテンツや扱うデータのフォーマットも多様で、運用を考えるとパッケージ導入が順当という結論に至りました(柿内さん)」。

「5月の連休直後にお会いして、『最前線』のリリースが9月15日でした。ビジネスフェーズの検討に2ヵ月くらいかかったので、実際の開発期間は1ヵ月半くらいです。短期間で最高のパフォーマンスを出せるようにするには、パッケージの利用が不可欠でした(坂西さん)」。短期間に立て続けにサイトをオープンしていくことができたのは、コンセプト作りにしっかりと時間を取れたこと、裏を返せば「Power CMS」のすぐれたパッケージのおかげだと坂西さんは語ってくれた。

「読ませるサイト」として、組版の美しさにはこだわった

ジセダイ

「最前線」「ジセダイ」ともに、HTML5やCSS3といった次世代Web規格をふんだんに用いて構築されている。たとえば、コンテンツ閲覧用のビューアーは、Webでの読みやすさを考え、ルビ付き文字が横組みにレイアウトされるよう工夫されている。「書籍用に縦組みでレイアウトされたIndesign形式のデータを、どのようにWebに最適化されたレイアウトに変換するかを考えました。機能部分では、ルビ付きの文字列をコピーしてTwitterに投稿すると、自動的にルビ部分をカッコ書きにした文字列に変換してくれる機能や、サーバー側で同期して他のブラウザでもしるしをつけたページから読めるようしたしおり機能などがあります(坂西さん)」。

シナップが独自に開発したこのビューアーは、Web上でプラグインなしで動作するもので、東京タイプディレクターズクラブが主催する「東京 TDC賞」(2011年)の RGB 部門に入賞している。一方、運用面での工夫について柿内さんは以下のように語る。「扱うコンテンツやデータには様々な種類やフォーマットがあります。公開するデータは『Power CMS』のCSVインポート機能を用い一括入稿できるため、どういう形式のデータがきても誰でも簡単に更新できるようなテンプレートづくりを心がけました(柿内さん)」。「Power CMS」の管理画面は、よく使うアクションがツールバーとして表示されるため、直感的に操作でき運用の負荷軽減に役立っていると柿内さんは語ってくれた。

「構築に際しては、どういう機能を実装するかという点も大事ですが、その前の段階に相当の時間を割きました。たとえば、サイトの名前やポジショニング、想定ユーザー、コンテンツのDRMフリーの検討や、ビューアーのレイアウトは横組みがいいのか縦組みがいいのか、といったことの検討ですね(坂西さん)」。クライアントとサイト制作者側で、Webでサービスを提供することの必然性といったテーマがとことん話し合われたことがうかがえる。

作り手=編集者が前面に出ていくという意識

「最前線」のオープンから約1年、「最前線」「ジセダイ」両サイトともソーシャルメディアとの連携を強く意識している。「アクセス元はTwitterからの流入が圧倒的に多いのが特徴です。一日のアクセス数としては平均的な数字でも、瞬間的にアクセスが集まったりするのも、ソーシャルメディアの特徴ですね(坂西さん)」。

 コンテンツの更新、コーポレートサイトや編集部ブログは杉原さんや6人の編集部スタッフが自ら更新している。「私たちは紙の文化で育ってきて、ずっと『主役は作家、編集者は黒子』という意識でいました。これからのソーシャルの時代にマーケティングするには、もっと編集者個人が前面に出ないといけないということで、ブログやTwitterといったソーシャルメディアへの取り組みは意識している部分です(杉原さん)」。

ユニークなのは、星海社の会社設立時の新規編集スタッフは主にTwitterで募集、採用されたという点だ。「募集要項なども特に詳しく書かずに『俺たちと一緒に新しいことやろう』という感じで呼びかけました。今思うと無謀だったと思いますが(笑)、双方向性とかダイレクトな反応といったWebの力を実感する出来事だったのかも知れません。星海社の編集者は、紙の編集者というよりインターネットを含めたコンテンツの編集者という意識に変わってきていると思います(杉原さん)」。

新しい出版エンタテインメントの創出のためシナップに求める役割は大きい

今後もWeb独自の読書体験にこだわったサービスを提供していきたいと杉原さんは語る。「テキストだけでなく、ソーシャルメディアなどのコミュニケーションの要素や、音、映像といった五感に訴えるコンテンツなども一つのアプローチだと思います(杉原さん)」。今後は、スマートフォンでの表示最適化などにも取り組んでいきたいとのことだ。

「出版社の担う機能には大きく3つあります。才能を発掘して(ソーシング)、そのコンテンツを編集して(エディティング)、売っていく(マーケティング)です。これまではマーケティングでいうと、作家名、雑誌名、書籍シリーズ名等をブランディングして、読者を継続的に引きつけていくという方法が主でした。今後は、ブランドのありかがWebサイト名や編集者名にも移行してくると思います。『編集者の誰々が作ったコンテンツなので読みたい』というふうに編集者と読者の関係が新しく構築されていく中で、将来新しいビジネスを作っていけるんじゃないかと考えています(杉原さん)」。

Webを使って何ができるかという点で、今後もシナップに求める役割は大きいと語る杉原さん。どんな新しいサービスがリリースされるか、今後の取り組みから目が離せそうにない。

写真右から星海社杉原さん、シナップ坂西さん、柿内さん

写真右から星海社杉原さん、シナップ坂西さん、柿内さん

事例データ

  • Movable TypePowerCMS
  • サイトを公開したのは:2010年7月7日(コーポレートサイト)、2010年9月15日(最前線)、2011年9月21日(ジセダイ)
  • はじめた理由:Webを通じた新しい出版エンタテインメントの創出
  • 制作を担当したのは:株式会社シナップ
  • どのような手ごたえがありましたか?:ソーシャルメディア経由での流入が多くコミュニケーションが活性化している

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